Culture

持続的な成長をめざして。自らの経験を糧に、新規事業創出に挑戦する人を支えたい

2022年に中途入社し、現在は公募型新規事業創出制度「idea GARAGE」の制度運用に携わるかたわら、自身の事業アイデアの検証活動にも取り組んでいます。図らずも入社1カ月目で新規事業の立ち上げに関わることになった石井が、富士フイルムシステムサービスの風土の魅力、可能性を語ります。

石井 孝太

事業創出、人材育成、企業文化の醸成を3軸で。「idea GARAG」がめざすもの

富士フイルムシステムサービスでは、2018年に公募型新規事業立案制度「idea GARAGE」を新設。新規事業創出活動を起点とした企業成長に向けた取り組みを進めています。

「新規事業の創出と、会社の持続的な成長を目的とした制度を整備し、新たな価値創出を加速させることがこの制度の狙いです。また、事業創出を通じて次世代の事業リーダーや社内起業家を継続的に生み出す人材育成の仕組み、またその人材のプレゼンス発揮により既存事業を再成長させることに加え、挑戦や改革を後押しする企業文化を醸成し社員を元気にすることを目的としています。

『idea GARAGE』 には直接雇用社員であれば職種、年齢、役職、業務経験に関係なく誰でも、またいつでも参加が可能です。エントリー後、約3カ月後に行われる一次審査を通過すれば、業務として一定の時間を使って検証活動ができ、またその活動は評価の対象にもなります。

新規事業創出活動は、リーンスタートアップと呼ばれる新規事業立ち上げの手法にのっとって『仮説としている事業やサービスは本当に顧客が求めているものか』、『本当に対価を払っていただけるようなものなのか』等を、将来的に顧客になる可能性のある企業へのインタビューや、プロトタイプ(※)へのフィードバックの取得を通して仮説検証のサイクルを回すことでビジネスの解像度を高めていくプロセスが採用されています」

※サービスの提供価値を端的に説明するコンセプトペーパー、ソリューションのうち課題解決を実現するメインの機能だけを切り出したモックアップやワイヤーフレーム等、仮説ソリューションが顧客の課題を本当に解決できるかを確かめるための各種検証ツール

「idea GARAGE」の運営事務局を務める経営企画部 総合計画グループに所属する石井にとって、富士フイルムシステムサービスは5社目。これまで電機メーカーや専門商社、ゼネコンなどの業界を経験してきました。

「キャリアを通じて経営企画や事業企画に携わってきました。事業部門や海外子会社の業績管理、事業推進支援を担当したり、中期事業計画や設備投資計画の策定に関わったほか、IR、広報活動など幅広い業務を経験してきました。

経営企画や事業企画は、経営層に近いところで外部環境や会社全体を俯瞰しながら、中期的な事業成長の方向性を設定して大小諸々の課題解決の方法を提案する仕事。さまざまなトピックに関われるところに、おもしろさと適性を感じています」

石井が富士フイルムシステムサービスに入社したのは2022年のこと。その経緯をこう振り返ります。

「企画の領域でそれまで経験したことのなかった新規事業創出やM&Aに携わる仕事がしたいと考えていたところ、採用面接で新規事業創出に関われる可能性がある旨のお話しがあり興味を持ちました。

印象的だったのは、面接官の印象がとても紳士的で応対が丁寧だったこと。その背景にある社風に魅力を感じたことが入社の決め手になりました。

また、富士フイルムグループの安定感、事業領域の広さも入社を決めた理由の一つです。グループの総合力で新しいことに挑戦できる大きな可能性を持っている点はとても魅力的でした」

前職での経験をもとに、脱炭素に関するアイデアの事業化検証を推進

「idea GARAGE」運営事務局の一員として制度運用に携わる石井ですが、伴走支援のノウハウやスキル習得も兼ねて、自身のアイデアの事業化検証にも取り組んでいます。

「前職で脱炭素経営の推進を目的として事業活動で排出するCO2の算定、開示に関わっていたのですが、CO2算定の元になる購買データや製造データ、各種業務データの収集にかなり苦労していました。必要なデータをいろいろなシステムから探り出したり、製造現場にお願いするなどして、手探りで対応していました。

世界的に脱炭素への取り組みが注目される中、こうした経験をしているのは私だけではないはず。コストや時間を掛けずに効率的にデータを収集できるソリューション開発ができるのではないかと上司と相談したところ、『idea GARAGE』についての理解を深めるためにもそのアイデアの事業化検証をやってみたらいいと上司から提案を受け、私の活動が始まりました」

石井が「idea GARAGE」を利用した新規事業創出の検証活動をスタートしたのは、入社して1カ月目。前職での業務を振り返りながら、新たな事業の輪郭を掴んでいきました。

「まずは業務フロー、個々の作業、社内の組織の役割分担や関係性、脱炭素に関する世界あるいは日本政府の枠組みや業界団体などの外部環境からの要請など、当時の課題となったもの、課題の要因となったものを一つひとつ洗い出していきました。

次に行ったのが同様の課題を抱えているであろう企業の抽出です。CO2排出量の多い業界か、上場か非上場か、売上規模の大小、環境に関する認証を取得しているか否か等を軸に脱炭素に積極的と思われる企業をピックアップしてロングリストを作成しました。その後、公式サイトの情報をもとにメールや電話でヒアリングの申し込みを行いました。それまでまったく取引のない企業65社にヒアリングを申し込みましたが、当初はお断りやメール返信がない状況でした。

営業活動と違って既に製品やサービスがあるわけでなく、基本的に先方にはヒアリングに応じるメリットがありません。私には営業の経験がないため最初はどうやってうまくアポイントを取ればいいのかさえわからない中、なかなか思うようにアポイントが取れず試行錯誤でしたが、それでも結果的に24社からヒアリングの協力を得ることができ、課題の解像度を上げてソリューションの仮説を立てることができました」

現在、石井はヒアリングを行った24社のうち2社と業務調査の協業を進めています。

こうした事業化検証を手探りで作業を進める中、石井は多くの学びや気づきがあったと言います。

「自身が苦労した経験から『こんなソリューションがあれば絶対に売れる』という確信がありましたが、実際にヒアリングを重ねた結果、その思い込みは顧客にはあまりメリットがなかったり、実現が難しいということがわかってきました。苦労した要素を解きほぐして深掘りし、誰もが共感できるようなものにすることで初めてビジネスが成立します。新規事業創出の難しさを痛感しているところです。

また、ヒアリングについても、初めのころはいただいた時間のほとんどを自分の経験や仮説の説明に費やしてしまい、先方からあまりコメントをもらえないという状況でした。営業出身の上司から助言をもらいながら改善を行ったことで、いまでは先方の状況把握や課題を掴むための有意義なコメントを引き出せるようになっています。

顧客課題への意識も高まりました。私は既存事業における重点テーマの進捗管理も担当しているので、顧客の本当の困り事は何かを深掘りする習慣が身についたことで、営業の現場と同じ目線で既存事業を見られるようになったと感じています」

一方、新規事業創出に携わっているからこそのこんな喜びも。

「『とても必要なことだと思います。これからも頑張って良いものをつくってください』とヒアリングを行った企業の方から励ましの言葉をいただいたのが嬉しかったです。また、検証活動で一定の成果を出したことが評価され一次審査を通過できたこと、社内ポータルで活動メンバーの募集を行ったところ私の経歴に興味を持った営業の方々と別の形でコミュニケーションが始まったことは、とても嬉しいことでした」

個の存在が重視される環境で組織と共に成長。自らキャリアを描く環境がここにはある。

入社して約1年。自社の風土の魅力をさまざまな場面で感じてきたと石井は言います。

「『idea GARAGE』以外にも、社内兼務を公募する人事制度“スラッシュキャリア”や、富士フイルムグループ内企業で公募し、出向形態でスキルを磨くことができる“グループ内公募制度”など、新しいことに挑戦するための環境が整っているのが当社の特徴です。

上司、先輩との関わりの中でも個の存在が重視される傾向があり、与えられる裁量権が大きいことから、社員の努力や働きが組織の成長に直結していると感じます。個人の成長と組織の成長がリンクしている会社と言い換えられるかもしれません」

また、これまでのキャリアでさまざまな業界、企業を経験してきた石井。同社で働く醍醐味についてこう話します。

「当社は、自治体などの公共機関向け、一般企業や学校、病院などの民間向けにIT技術とBPOを組み合わせたさまざまなソリューションを提供する企業です。今後、日本国内のあらゆる業界で労働力不足の問題が深刻化することが予想される中、顧客の重要なパートナーとしての当社の位置づけはますます高まっていくと考えています。

他社にはない独自のビジネスを通じて仕事のやりがいや達成感を得られる場面は多いはず。自身で社内外のいろいろな人を巻き込んで新しいソリューションを創出できるチャンスも豊富にあると思います」

ニーズを拾って、シーズに変える。会社の成長戦略に貢献できる存在に

これまで通り、今後も経営に近い立場で企画業務に携わっていきたいと話す石井。新規事業創出活動へのチャレンジを通して得た知見や事業に対する新たな視点を活かし、富士フイルムシステムサービスのビジネスの成長に貢献していくつもりです。

「当社の中長期的な成長の実現に向けて、今後3年間のうちに新規事業を立ち上げ大きくしていく必要があると思っています。着実にビジネスの種を蒔き、それを早く、大きく育て、新たな価値創出につなげていきたいと思います。

そのために欠かせないのが、顧客のニーズを正確に掴むこと。その意味で、入社以来これまで事業化検証のプロセスを通じて顧客課題への意識を養えたことは、大きな収穫だったと感じています」

現在も新規事業創出に向けた事業化検証に取り組む石井ですが、「idea GARAGE」の運営事務局を務める総合計画グループの本来の役割は、事業化に向けてチャレンジする社内起業家を全面的に支援すること。伴走者としての意気込みをこう語ります。

「事業化検証のプロセスを経験したことで、新規事業開発活動で陥りやすい状況やポイントを把握できました。今後は新規事業を立ち上げたい方々のサポートにも力を入れていきたいと思っています。

活動状況の整理を支援したり、検証の方向性について壁打ち役となって、事業のピボットについて示唆を示したり。事業開発活動に必要なノウハウ、技術、人脈など、さまざまな面から支援することで、課題解決のお手伝いをしていきたいと思います」

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