大塚 誠也
運用・保守のチームリーダーとして作業配分を工夫し、進捗を把握
公共領域のお客様に対応しているクラウドサービス部。「戸籍総合システム」などの各ソリューションにおいて、クラウドサービスとしてのQCD(品質・コスト・納期)の保証や、クラウド事業のさらなる推進をめざしています。
「約40名の社員で構成される部内には、サービスを設計する『クラウド設計グループ』、お客様にサービスを導入する『クラウド推進グループ』、運用をサポートする『テクニカルサポートグループ』の3グループがあり、部内で一貫したサービス提供を実現しています。
私が所属するテクニカルサポートグループは、さらにクラウドサービスの運用・保守とコールセンターの各役割に分かれています。私は運用・保守チームで、『コンビニエンスストア証明発行システム』と『異動受付支援システム』を担当するチームのリーダーを担っています」
社員3人と協力会社メンバー14人をチームリーダーとして束ねる大塚。自身の業務はシステムのバージョンアップや法改正対応といった各イベントや、個々の保守案件の管理に加え、クラウドサービス基盤の監視や運用、インシデント対応など多岐にわたります。
「イベント管理にもさまざまありますが、中でもシステムのバージョンアップは年に1回以上ある大規模な業務ですね。チームや協力会社のメンバーにスムーズに業務を進めてもらうには、工夫が必要です。
まず、メンバーには全体の中での各業務の位置づけや、前後の工程との関連性を理解してもらうように心がけています。そのためには日々のコミュニケーションが欠かせません。そして、メンバーのスキル、特性に応じた業務配分も重要です。業務については任せきりにするのではなく、進捗を常に把握しながらチームを引っ張っています」
チーム内で徹底しているのは、「お客様への丁寧な対応」だと語ります。
「以前はオンプレミス型でサービスを提供していたので直接お客様先を訪問して業務を行っていましたが、クラウド型のサービスとなった今、お客様と対面でお話をする機会が以前よりも減り、メールや電話でのコミュニケーションに変わりました。当然、電話でのコミュニケーションはお客様の状況を直接見ることはできません。
だからこそ、お客様の状況を正しく把握するために丁寧にお話を伺うことや、お客様が不安を抱かないように順序立てて必要な情報をお伝えしたり、必要に応じてリマインドしたり、目の前のお客様、個々の状況にあった対応が大切です。私自身もメンバーも、それを強く意識しています」
公共事業部門で初となるクラウド運用設計を担当。困難を越えて味わった達成感
学生時代、今の仕事とは無縁の分野で研究していたという大塚。
「農学部でフィールドワークを重ね、地球環境や生態系の成り立ち、評価方法を学んでいました」
その中で当社に関心を抱いたのは、こんな理由からでした。
「お客様が自治体様ということは、すべての住民の皆様がエンドユーザーになる可能性があります。社会的な責任が大きく、やりがいのある仕事ができそうだと感じました。
人事担当者の対応にも心を動かされました。最終面接が大学の研究で海外に行く日程と重なってしまったのですが、面接日や場所を柔軟に変更してくれて。親身な対応から社風の良さを感じ取り、ここで働こうと決めました」
2009年に入社して5年間は、公共事業部門のカスタマーサービス部でカスタマーエンジニアとして働いた大塚。そこで初めて、大型プロジェクトに関わりました。
「政令指定都市のとある自治体様の戸籍電算化に向け、インフラを設計する部門に配属されました。『戸籍総合システム』を動かすためのネットワーク調整や機器の設置、動作テストなどを担当しました。
初めてのプロジェクト参加で、社内からは厳しく指導をいただくこともありましたが、プロジェクトに携わったことで強い責任感が芽生えたのを覚えています」
その後システムサポートを行うコールセンター部門に異動し、在籍中にさらなるチャンスが訪れます。
「クラウド型のサービスとして稼働予定の『コンビニエンスストア証明発行システム』の運用設計をやってみないか、と声をかけられました。 クラウドの運用設計は、当社の公共事業部門では初の試みでした。
右も左もわからない状態で関わり始めました。クラウド型になればどういう世界が広がっていくのかを想像しつつ、一つひとつの課題を解決していき、無事に稼働を迎えることができました」
このプロジェクトを通じて、多くの学びを得たと話します。
「それまでは特定の自治体様に対し、1対1でサービスを提供していました。一方でクラウドサービスは、すべてのお客様に共通のものを提供する形。多様なご要望をどう反映させたらよいのかと難しさを感じました。
しかしある時、『数々のご要望を丁寧にヒアリングし、お客様にとっての最適なルールを見つけ出したらよい』と気づいたんです。前例がないところに新しいフォーマットを作るような業務を無事終えられ、達成感を味わいました」
千里の道も一歩から。抜本的に工程を見直し、膨大な作業をやり遂げる
これまでの経験を糧にして、成長を続けてきた大塚。現在の部署で印象深い出来事は、今年度(令和6年)のコンビニエンスストアで交付される課税(非課税)証明書や所得証明書のデータ切り替え作業と、税制改正に伴うシステム側の調整を同時に進めた案件だと言います。
「課税(非課税)証明書や所得証明書のデータ切り替えは、毎年6月の前半に実施される自治体様が多く、われわれの業務もその期間に集中します。個人の1年分の所得や住民税額、扶養状況など、証明書を取得可能な住民の方々全員分のデータを受領し、当社のシステムに取り込んで検証や各種調整を行います。発行できる状態になれば自治体様にもテストしていただき、ようやくコンビニエンスストアで交付できるという流れです。
この業務を1自治体様あたり1週間~2週間のスケジュールで実施するのですが、クラウドでは今年度約250の自治体様を対応しました。自治体様ごとにいつデータを受領できるのか、いつから切り替え後の証明書をコンビニエンスストアから発行するのかが異なるため、自治体様毎に作業スケジュールが異なります。
そのため単純なボリュームだけでなく、自治体様毎に異なるスケジュールが並行して、かつ6月の前半に集中して動くことがこの業務の難易度の高い点です。
例年このように短期間で難易度の高い業務を進めるのですが、今年は税制改正と重なったことでさらに複雑になりました。課税(非課税)証明書に定額減税項目を表示させることとなり、証明書上の項目を増やすための自治体様や税システムベンダとの調整、システム側の設定変更をし、自治体様ごとの異なる証明書フォーマットをデータの切り替え作業に併せて適用させなければならなかったんです」
一連の業務をどう乗り切ればよいか、頭を抱えた大塚。しかし、一筋の光を見いだします。
従来の事前準備や作業工程、管理方法について、一つひとつの作業を抜本的に見直し、作業の効率化と各工程の確認を徹底しました。その上でメンバー一丸となって集中して作業にとりかかり、最終的にはどの自治体様も大きなインシデントを起こすことなく稼働させることができました。細かな積み重ねの末に大きなことを成し遂げられて、『千里の道も一歩から』という言葉の意味をかみしめましたね。
当社で働く魅力については、「運用・保守業務が減点ではなく、加点方式で評価されること」と語ります。
「運用・保守の仕事は『普通』の状態が当たり前とされ、何かインシデントが起きれば減点されるイメージがありますが、普通を維持することは大変なことです。当社では何かが起きる前に先手を打つといった、普通を保つための改善活動は、お客様の満足度向上に向けた取り組みとして評価されます。
たとえばサーバーメトリクス(※)に関するデータを積み上げて分析し、予防的にサーバーを再起動させたり、作業工程を見直し手作業でおこなっている作業をツール化により圧縮して、確認工程を増やすことで品質を高めたりする活動ですね。日々の活動が評価されることで、やはり私たち社員のモチベーションも高まります」
※ CPU使用率、メモリ使用率、ディスク使用率、Data I/O、アクセス数など、システムのヘルス情報やパフォーマンス情報を定期的に取得したもの
難易度が高い案件でも先頭に立って計画し、課題を解決していきたい
職場の雰囲気に関しては、「メリハリがあり、相談しやすい雰囲気」と実感を込める大塚。
「メンバーはイベント関連対応の真っ最中には残業もしますが、落ち着いた時期は残業なしで帰ります。また、全体的に明るく優しい人が多いからか、気軽に仕事の相談がしやすい雰囲気だと思いますね。当社はマネージャーとの距離が近く、フォローしてくれる機会も多いので、安心して業務に集中できます。
チーム同士で協力し合う文化も根づいています。たとえば戸籍総合システム担当チームと、私の所属するコンビニエンスストア証明発行システム・異動受付支援システム担当チームは1年前まで同じチームだったこともあり、互いに忙しい時期や困った場面ではコミュニケーションを取り、助け合いながら業務を行っています」
今後に目を向け、自身がチャレンジしたいことについて力強く語ります。
「それぞれのシステムで法改正、大規模改修への対応が控えており、日々進歩する技術を理解した上でシステムに取り込んでいかなければなりません。そのため、とくにクラウドに関する技術には貪欲に触れ、吸収していきたいと考えています。
たとえば、システムの大規模改修では、導入されているすべての自治体様を新しいシステムに乗せ替えるとなると、かなり大きな対応になります。そんな難易度が高い案件でも自分が先頭に立って対応計画を立案し、詳細の工程を設計して課題を解決していけたらと思います。その積み重ねによって視野が広がり、視座が高まって、人間としての器が大きくなるのではないかと思っています」
これからメンバーとして加わる仲間に求めることとして、スキルよりも大事なことがあると話す大塚。
「クラウド運用の経験やスキルを持つ即戦力の方が来てくれたら、それはもちろんありがたいことです。でもどちらかと言えば、前後の工程にいる人たちのことを考えて仕事ができるとか、周囲ときちんとコミュニケーションがとれるといった人間力を備えていてほしいですね。
スキルは、日々業務を続けていれば獲得できます。入社後には教育カリキュラムがありますし、最低限のことができるようになった上で何か開発したいスキルがあれば、それに見合った教育を受けることもできます。お客様の当たり前を、当たり前に守っていくためにも、一緒に働くメンバーには着実に業務遂行するための基礎である人として魅力的な方が来てくれたらと思います」
大塚自身も人間力を体現しながら、新たな人材と手を携えて挑戦を続けていきます。
※ 記載内容は2024年9月時点のものです