安藤 大輔
チームワークでシステムサポートを実現。大切にしているのは誠実に顧客に向き合うこと
クラウドサービス部テクニカルサポートグループに所属する安藤。約1,200を超えるユーザー自治体を対象に、安藤達は自社で構築したシステムの運用を行っています。
「私たちの所属するクラウドサービス部は、『戸籍総合システム』や『デジタル窓口ソリューション』など、自治体様向けの各ソリューションにおいて、クラウドサービスとしてのQCD(※1)の保証や、サービスの設計、構築、運用を担当しています。
その中で私の所属するテクニカルサポートグループは、これらのシステムやソリューションを安定的に提供するための運用からアフターサポートまで幅広いサービスを提供させていただいています」
テクニカルサポートグループは2つのチームに分かれ、それぞれ異なる役割を担っています。
「クラウドエンジニアが在籍するクラウド運用・保守チームと、テクニカルオペレーターが在籍するテクニカルサポートチームで構成されています。
私はテクニカルサポートチームに所属しており、お客様から寄せられるシステムに関するお問い合わせに対し約30名のオペレーターにて技術的なサポートをご案内しています」
また、テクニカルサポートグループとは別に、富士フイルムシステムサービスが提供するシステムを利用して自治体が実施する戸籍関連業務の実施をサポートする籍サポートセンターがあります。テクニカルサポートチーム、戸籍サポートセンターはそれぞれの役割範囲を持ち、共に東京と大阪の2拠点で客様への対応を行っています。
「テクニカルサポートチームも、戸籍サポートセンターもそれぞれ東京と大阪に拠点があり、併せて約100名のオペレーターがお客様からのさまざまなお問い合わせへ対応しています。戸籍サポートセンターでは『戸籍総合システム』の操作方法のお問い合わせに加え、戸籍事務の実施方法に関する問い合わせにも対応します。
一方、私がいるテクニカルサポートチームでは、当社が提供する『戸籍総合システム』以外のシステムも含め、幅広いサービス、商材を対象に、主にハードウェアやネットワークのトラブルへの対応を行っています。
私は大阪のテクニカルサポートチームのリーダーの1人として、7人のメンバーをまとめています。メンバーが一次対応した案件の中で、難しいものがあれば以降の対応を引き継ぐことがあります。また入電状況に応じて待機人員が少ない時には自分もオペレーターとしてお問い合わせ対応することもあります」
現在、安藤は公共事業領域のクラウドサービスにおける統合監視基盤を設計するタスクにもリーダーとして携わっています。
「クラウドエンジニアと電話対応の部隊を連携させる取り組みを行っています。クラウドでインシデントが発生してしまった際に、お客様に能動的にご案内や対応ができるように、複数のシステムにてリアルタイムの状況をモニタリングできる基盤を構築しています」
多岐にわたる業務に携わる中で、安藤には大切にしている価値観があります。
「一番大切にしているのは、“フェアである”ことです。相手によって態度を変えず、誠実な対応を心がけています。お客様への対応だけでなく、社内外のさまざまな方とコミュニケーションをとる際も、表面的な情報に惑わされず、事実に基づき自分で考え行動するよう努めています。
また、自分で1つのことを最後までやり抜くことは大事ですが、それと同じくらい、仲間に頼り協力することも大切だと考えています。1つの案件に1人で長時間付きっきりになると、他のコア業務に着手できなくなるなど後々の進行に影響が出て、お客様にご迷惑をおかけする事態になりかねません。
そのため、仲間と情報を共有し、分担して取り組むことが、この仕事には不可欠だと感じています。それが結果的にお客様により良いサービスを提供することにつながっていると思うので。常に『どのように対応するのがお客様にとって最善なのか』を考慮しながら判断するよう心がけています」
※1 quality(品質)cost(コスト)delivery(納期)の頭文字を並べた言葉。この3つの要素がサービスや製品の競争力を高め、顧客満足度を上げるための基盤となる
先輩の姿から得られた気づきと学び。苦労を乗り越えながら着実にミッションをこなす日々
前職では、安藤はVPS(※2)のレンタルサービスを提供する会社で働いていました。
「データセンターでサーバーを組み立ててラックに搭載する作業から、それを運用していくところまで一通り経験しました。幅広い業務に携われたことは今のクラウドサービスのサポート業務にも活きていると感じています」
安藤は、より大規模な組織でのスキルアップをめざし、転職活動をスタートさせます。そして、富士フイルムシステムサービスへの入社を決意しました。
「富士フイルムシステムサービスを選んだのは、全国の自治体様向けに『戸籍総合システム』を提供し、公共事業領域に強みを持っている点に魅力を感じました。そして、面接時の社員の皆さんの印象や対応が良かったことが入社の決め手です」
入社後は、さまざまな経験を通じて着実にステップアップしていきます。
「入社後の最初の業務は、オンプレミスの『戸籍総合システム』の基盤設計や検証でした。OJTでは実際に同行させてもらって現地作業の経験も積みました。その後の3年間は、『コンビニエンスストア証明発行システム』の新しいオプションが始まり、その基盤設計やデリバリー運用設計に携わりました」
2018年からは、新たに設立されたクラウド事業推進部(現クラウドサービス部)に安藤は配属となります。
「『戸籍総合システム』をクラウド化するプロジェクトが始まり、 そこではネットワークの設計を担当しました。当初は知識不足のため、周囲の話を聞くだけで精一杯でしたが、人に頼るだけではいけないと思い、e-ラーニングなどを利用して積極的に勉強していきました。しだいにさまざまな方からの質問に対しても自ら考え、具体的な回答までできるようになり、それが自信につながりましたね」
とくに苦労した案件について、こう振り返ります。
「ある自治体様で、『コンビニエンスストア証明発行システム』のオプションサービスとなる本籍地証明交付、全国で初めて導入いただいたときのことです。要件を整理して開発部門へ伝える橋渡し役を務めましたが、知識不足から開発部門にうまく伝えられず社内でのコミュニケーションに苦労しました。
また、技術的な難しさだけでなく、コンビニ交付を管轄する総務省との複雑な手続きを理解するのも大変でしたね」
先輩のサポートもあって、安藤は苦労を乗り越えながら成長していきます。
「今回のように全国で初といった案件では、社内にもノウハウはありません。だからこそわからないことは自分で情報を集め、十分に理解した上で関係者に伝えることの大切さを教えてもらいました。前例がないところから手探りで突き進んでいく先輩の姿に影響を受け、自主的に行動することの重要性を実感しました」
※2 Virtual Private Server:仮想専用サーバー
自治体職員と共に住民サービスを提供する使命とやりがい
安藤が印象に残っている出来事として挙げるのは、以前とは別の自治体で「コンビニエンスストア証明発行システム」を導入するにあたり、どのように運用するかを検討するプロジェクトチームに参画した時のことです。
「本来は営業担当が支援するのですが、自治体様からのご期待やご要望に対応するためエンジニアとして私も参加しました。そこでは職員の方々のご意見に対して、システム的に実現可能かどうかの判断を任されました」
しかし、プロジェクトの後半で予期せぬ困難に直面します。
「こちらの知識不足があり、職員の方から厳しい指摘を受けてしまいました。別の事業者が提供するシステムについての内容ではありましたが、関連システムについても理解をした上で、責任を持って自分たちのシステムを提供しなければいけないと気づかされました。
そこからは、関連システムの勉強もしながらあらためてプロジェクトに取り組み、無事に稼働することができました。職員の方からは感謝の言葉をいただけて、最終的には期待にお応えすることができたと感じています」
このプロジェクトを通して、自治体職員の仕事内容を深く知ることができた安藤。それにより新たな気づきがあったと言います。
「たとえば、『コンビニエンスストア証明発行システム』を住民の方が利用するために必要な登録申請の運用フローについて、日本に住む外国籍の方や海外に住む日本国籍の方など、自分が想定していないようなケースが多数ありました。システムはパッケージでの提供ですが、実際の運用ではさまざまなケースに対応する必要があるという、貴重な学びを得ました。
この経験から、システムを技術的に扱うだけではなく、職員様と力を合わせてその先の住民サービスを提供することがわれわれの使命だと実感しました」
多くの自治体と関われることは、安藤のやりがいにつながっています。
「特定の自治体様だけでなく、全国の自治体様と関わりを持ちながら、システムを提供できることが一番の魅力だと思います。それによって、自治体様のお困り事を解決し、その先にいる住民の方々に安心してご利用いただけるサービスを提供する。そこに大きなやりがいを感じています。
また、電話対応の業務がメインですので、トラブルを解決したときにお礼の言葉をいただけるのは嬉しいですね。少ない情報をもとに、トラブルの原因を特定して解決できたときの達成感は、この仕事の醍醐味だと感じています」
ストレスのない環境づくりが好循環を生む。メンバーと共にサービス品質の向上をめざす
テクニカルサポートチームでは、働きやすい環境づくりに取り組んでいます。
「土日も含めて動いていますが、メンバーで分担してシフトを組んでいるため、自分の時間もちゃんと確保できる体制が整っています。在宅勤務もバランスよく取り入れているので、とても働きやすい環境だと感じています」
さらに、誰でも業務の引き継ぎができるようナレッジ管理を導入しています。
「テクニカルサポートでは幅広いIT知識とさまざまな製品知識が求められるだけでなく、FAQや過去の案件記録などといったナレッジも活用してあらゆるお問い合わせに対応しなければならないため、かなり多くの情報を扱います。
そんな中で情報の残し方や引き継ぎ方に関しては、テクニカルサポートのルールとして決まっているため、担当が誰であってもスムーズに業務を引き継ぐことができます。ツールも充実していますから、状況に応じて使い分けるようにしています」
安藤は、ストレスの少ない職場環境づくりにも注力しています。
「インシデント対応の多い業務にはなるため、イレギュラーなことや困難なケースも少なくありません。そういった中でもストレスなく働ける環境づくりを意識しています。
メンバーから相談があればしっかりと耳を傾け、場合によっては周囲へも働きかけて困りごとの解消を図るなど、丁寧なフォローをするように心がけています。サービス品質の向上につながるように、好循環を作っていきたいですね」
受け継いできた基盤を次の世代につなげること。これは安藤がめざしていることです。
「現在、公共事業領域のクラウドサービスにおける統合監視基盤の構築を進めています。クラウドサービス部では複数のシステムを扱っており、各システムでインシデントが発生した際はそれぞれの担当者が対応しますが、お客様からのお問い合わせに対してはテクニカルサポートチームがご案内します。
その際、たとえばあるシステムに問題があった場合に別のシステムには問題がないかといった状況を把握するには、システム毎に担当者が異なるため情報の整理に手間がかかります。
この課題を解決するため、各システムのリアルタイムな状況を横断的にモニタリングできる環境を作り、業務負担を減らすとともにお客様のご期待に素早くお応えすることをめざしています。
このような活動ができるのは、先輩方が基盤を築いて支えてきてくれたからこそだと感じています。今の基盤を、より良いものに改善しつづけることで、自分自身もそれを次の世代に引き継ぎ、会社に貢献していきたいと考えています」
一緒に働きたいと思う人物像について、安藤はこう話します。
当社は経験の有無にかかわらず、いろいろな方が働ける場だと思っています。その中でも、変化を楽しめる人というのは、たとえ困難にぶつかったとしても、自ら進んで知らないことを吸収し、自分のものにできます。そういった変化を楽しみながら柔軟な対応ができる人と一緒に働けたら嬉しいですね。
最後に、安藤は富士フイルムシステムサービスの企業風土について語ります。
「会社の規模感が大きすぎず小さすぎないことが、当社の魅力につながっていると感じています。しっかりとした体制がある一方で、手を挙げれば挑戦を後押ししてくれる風土がある。その分責任は伴いますが、やりたいことに挑戦できる土台があることが大きな特徴だと思います」
日本各地の自治体と共に、よりよい住民サービスを届けるために──顧客に誠実に向き合いながら、安藤は今後もさらなる挑戦を続けていきます。
※ 記載内容は2024年9月時点のものです