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挑戦の先にある新規事業開発プロジェクトの成功に向けて──心理的安全性ある組織風土とはVol.02

富士フイルムシステムサービスは、社会の持続的発展に貢献するため、価値あるサービスソリューションを提供し続けることをめざしています。世の中の変化に対応し、お客様へ新たな価値を提供していくために重要な要素となる組織における「心理的安全性」に着目し、コミュニケーションにおける工夫、課題感について富士フイルムシステムサービスの社員が語ります。

槙原 健太

三木田 誠

稲邑 貴樹

黒川 阿由実

小松 直哉

新規事業プロジェクトを担う、公共事業本部ソリューション推進部

──各プロジェクトマネージャー(以下、PM)から、新規事業開発プロジェクトで立ち上げに取り組んでいるソリューションについて教えてください。

槙原「私は現在事業化をめざしている「財産調査デジタル化ソリューション」を担当しています。税金など公金滞納者の保有財産を調査するために、これまで郵送で対応されていた自治体様から生命保険会社様への保険契約(取引)有無の照会業務を電子化し、大幅な業務効率化の実現をめざすソリューションです」

三木谷「私は住民票の写しや戸籍証明書などの各種証明書を郵送で請求する際の手数料をキャッシュレスで決済できる「郵送請求キャッシュレスサービス」を担当しています。当サービスは2024年4月に事業化し、現在複数の自治体様に導入いただきご活用いただいています」

稲邑「私は「法人請求オンラインサービス」を担当しています。カード会社や保険会社などの法人様から自治体様に住民票の写しを請求する業務をデジタル化・オンライン化し、法人様・自治体様双方の「手間」「コスト」「時間」の削減をめざすソリューションです」

──所属部署のミッションと役割、それぞれの担当プロジェクトを教えてください。

槙原「公共事業本部 ソリューション推進部 ソリューション企画グループでは「郵送DXソリューション」の「郵送請求キャッシュレスサービス」や「法人請求オンラインサービス」と、「財産調査デジタル化ソリューション」の新規事業立ち上げを中心に活動しています。

ただの事業立ち上げだけではなく、いかにお客様に喜んでいただける状態でご提供できるかを目標に取り組んでいます。

とくに「郵送DXソリューション」では目標達成に向けて細やかな活動を進めるために、プロジェクト管理やプロダクト開発だけではなく、CX(※1)チーム、デリバリーチーム、営業推進チームといった各部署と連携して活動しています。また新規事業開発プロジェクトだけでなく、新たな事業のアイデア仮説の創出とその仮説検証についても力を注ぎ活動を進めています」

三木谷「私の所属する公共事業本部 ソリューション推進部 ソリューション開発グループのミッションは「郵送DXソリューション」と「デジタル窓口ソリューション」など新規事業の創出と、既存サービスの拡充です。具体的には各ソリューションのシステム開発と、その保守を行いQCD(※2)の保証を基盤とした施策を計画・実行します。

また「自治体DX推進計画(※3)」など最新の業界動向をキャッチアップすることや、開発基盤を改善するための新技術の導入も重要なミッションのひとつです」

稲邑「私は槙原さんと同じソリューション企画グループに所属し「法人請求オンラインサービス」のPMを務めています。これまでにない官民双方が参加するプラットフォーム型サービスとして、早期市場展開をめざし、プロジェクト活動を推進しています」

黒川「私もソリューション企画グループに所属し、槙原さんと同じチームで「財産調査デジタル化ソリューション」を担当しています。事業の企画・検討や、自治体様・保険会社様への提案や営業などを行っています」

小松「私は三木田さんと同じソリューション開発グループに所属し、「郵送請求キャッシュレスサービス」と「法人請求オンラインサービス」の開発を担当しています」

※1 CX=カスタマー・エクスペリエンス:顧客が企業やブランドとの関わりの中で感じる価値のこと
※2 Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の頭文字を並べたもの
※3 デジタル社会構築に向けた自治体の取り組みに関して総務省を中心とした関係省庁が支援していくための施策、計画が定められたもの

プロジェクトを支えるのは手段にとらわれない効果的なコミュニケーション

──新規事業開発プロジェクトの進め方で工夫していることを教えてください。

三木谷「「財産調査デジタル化ソリューション」と「法人請求オンラインサービス」ではビジネスモデル上、自治体様をお客様とする公共事業本部と、民間企業様をお客様とするエンタープライズサービス事業本部が、従来以上に連携することが必要になっています」

槙原「はじめは事業本部間の垣根があるというか、お互いを知らない状態でしたのでコミュニケーションが取りづらいと感じることがありました。毎週の定例ミーティングで活動報告や情報共有の場を設けるなど、相互に理解する機会を意識的に作ってきたことで、現在では相互理解が深まり、連携して活動ができています。

同じ目標に向かって一緒に活動をしていくので、メンバー間の心理的な垣根といった障壁がなくなるように工夫をしています」

稲邑「プロジェクトの初期段階では、各メンバーが所属する組織が違うので日常業務での接点も少なく、一体感がありませんでした。

最近は、プロジェクトの縦割り・サイロ化抑止の取り組みなどからコミュニケーションが活発になっています。各メンバーには所属部門での立場がありますが、それをできるだけ切り離して、プロジェクトとして最高のパフォーマンスを発揮できるよう、PMとして日々試行錯誤しています」

黒川「新規事業を進めるにあたっては、メンバー同士の認識を合わせることや、同じ方向を向いていくことがとても重要だと感じています。自分と役割や立場が違う開発メンバーに要望出しを行う場合は、お客様の声や、背景、実際のお客様の業務をイメージできるように伝えることや、スムーズな情報共有ができるように工夫して取り組んでいます。

私自身はPMの槙原さんと以前から面識があったので相談しやすく、また長年事務を担当していたことから他部署メンバーとの面識も多くあるので、社内のコミュニケーションが取りやすく円滑に業務を進めることができていると感じています」

三木谷「「郵送請求キャッシュレスサービス」のプロジェクトでは毎朝10時から全員参加のデイリーミーティングをオンラインで開催しています。メンバー全員に一言でも話してもらうことを大事にしてコミュニケーションを取っています」

──オンライン会議において、課題を感じることはありますか?

小松「コミュニケーションの面では、オンライン会議はカメラをオフにしていることが多いので、説明した内容を相手が受け取れているのか反応がわかりづらいことが課題だと思います。

相手の「わかりました!」という言葉を受けてオンライン会議を終えても、実は正確に伝わっていなくて、その後想定外の状況になっていたとことも過去にはありました。顔が見えないコミュニケーションでは、お互いが伝えたことや伝えたいことがしっかり伝わっているのか、言葉で確認するしかないという難しさを感じています」

稲邑「オンライン会議には得意不得意がありますが、それを理解して使いこなすことが大事だと思います。プロジェクトでは、お客様も含む社内外の多くの方々と一緒に働く必要があるため、場所を問わずコミュニケーションが取れるオンライン会議は欠かせません。

一方、小松さんの話にあるように、相手の細かな表情や場の空気感を捉えるのは難しいので、お互いの意図が伝わっているか不安になることがあります。

私はオンライン会議では、参加者や自分の理解状況や論点をその場で整理して言葉にするように心がけています。もしそれができない場合は、話がうまくまとまっていないと捉え、もう一度確認して言葉にします。簡単には解決しないかもしれませんが、工夫してデジタルツールを最大限に活用しながらプロジェクトを進めています。」

──2つのチームに携わる小松さんは、チームによってコミュニケーションに違いを感じることはありますか?

小松「開発チームでは、デイリーミーティングで「郵送請求キャッシュレスサービス」と「法人請求オンラインサービス」のメンバーと毎日情報共有をしているので、チームによるコミュニケーションの違いは感じません。

ミーティング以外にも、チャットや電話などで気軽にやり取りできるので、コミュニケーションの取りにくさを感じることはありません」

前例も正解もないからこそ、重要なのはメンバー全員の多様な考えや率直な意見

──新規事業創出は前例もなければ正解もなく、想定通りにいかないケースも多い。そんな中で、どのようにプロジェクトに向き合っていますか?

三木谷「会社からの期待とプレッシャーを感じながらも、前に進むしかないというふうに考えています。とくに今年度は企画から実現フェーズに入り、やり遂げることだけを考えていました。

私は昨年度までソリューション企画グループの所属で、今年度からソリューション開発グループに異動しているので、企画グループの時はこういう課題解決をしたいとか、こういうのがあればいいなと企画検討を進めていました。

ですが開発グループに異動し、いざそれを実現できるかどうかの現実を目の当たりにすると、やり遂げる、実現することに専念しなければならないですし、メンバーにもそれをお願いしています。

また、プロジェクトを進めていく中で、開発で対応できないケースが発生した場合には、メンバーと一緒に解決するようにしています。メンバーと考えていくうちに、これだったら納得できるという解決策が出てくるんですよね。

ただ、あまりにも手に負えない大きい課題も中にはあるので、それはすぐに上司にエスカレーションしています。上司は本当にしっかり話を聞いて、受け取ってくれる人たちなのでとても助かっています」

小松「開発グループでは、上司がメンバーに対して積極的に声をかけてくれています。案件がうまく進んでいない雰囲気をつかんだらすぐにチャットでも電話でも連絡が入り、「大丈夫?」と気にかけてくれるので、相談しやすいですね。

三木田さんも相談すると、すぐに対応してくれますし、内容によってはすぐに上司にもエスカレーションしてくれてたいへん助かっています」

稲邑「想定通りにいかないことが多いからこそ、問題があるときにそっと蓋をすることがないようプロジェクト全体を見ています。問題を見つけたらすぐに声を上げられる雰囲気があるかどうかは、前例がなく正解のない新規事業プロジェクトを進める上で大事だと思います。

もちろんプロジェクト内で意見がぶつかることもありますし、意見のすり合わせは日常的に必要ですが、衝突を過度に恐れず向き合うことで、目の前の問題を先送りせずに確実に解決できると考えています」

──他部署とのコミュニケーションにおいて課題はありますか?

三木谷「郵送請求キャッシュレスサービス」のプロジェクトは専任のメンバーが多いですが、槙原さんや稲邑さんのプロジェクトは兼務の人が大半なので社内調整が大変だと思います」

槙原「他部署の協力は不可欠です。ネットワークのことはここの部門に聞く、AWS(※4)はここの部門に聞くというように社内担当者を見つけ出し調整するのは大変ですが、これまでの自身の持つ人脈を駆使し、他部署の人たちとコミュニケーションを取りながらプロジェクトを進めています。

プロジェクトは兼務しているメンバーがほとんどですので、プロジェクトとしてやってほしいことがあっても、なかなか時間がとれないことや、一緒にお客様先で打合せをしたいけどスケジュールが合わないことがあります。お客様とのアポイント以上に社内調整の方に時間がかかることもありますね」

稲邑「プロジェクトメンバーには兼務が多く、本業とプロジェクトを両立させなければなりません。どちらかに完全に集中できればいいのですが、そうもいかないので日々試行錯誤しています。制約がある中で、プロジェクトとしてどうあるべきか、どう進めていけばいいのか。これは槙原さんも苦労していると思います」

槙原「そうですね。私は、情報共有のためにプロジェクト内の個別ワーキンググループすべての会議体に出席し、全体のミーティングで各ワーキンググループの状況、情報を共有するようにしています。これによって情報の偏りを解消して支障なくメンバーの皆さんがコミュニケーションを取れるような工夫をしています」

※4 AWS=Amazon Web Services:Amazonが提供するクラウドコンピューティングサービスのこと

それぞれの考えや想いを結集し、プロジェクトの成功に挑む

──プロジェクトを成功に導くために、意識したいことや取り組みたいことを教えてください。

三木谷「プロジェクトに限らず、多様な働き方の人が会社全体にいますので、オンライン前提でのコミュニケーションを実現したいと思います。オンラインならではの難しさもありますが、難しいと言っている世界では勝っていけないので、リーダーとして今後もオンラインを前提とした働き方を実現していきたいと思います」

槙原「プロジェクトとして判断を行う際に、メンバーとしっかりコミュニケーションを取って認識を合わせた上で判断していきたいと思っています。発言しやすい雰囲気を醸成することを意識し、メンバーがパフォーマンスを発揮しやすいような環境を整えながら推進していきます」

小松「一人ひとりのメンバーが「プロジェクトを成功させる」と思うためには、プロジェクトの立ち上がりでメンバー間の壁をなくすことが重要だと感じています。

ある程度プロジェクトが進んだ段階での関係構築は時間がかかるので、最初にアイスブレイクも含めてコミュニケーションを取ることでチーム全体の良い関係性を築き、率直に意見を言い合える風土がプロジェクトに浸透すればいいなと思います」

黒川「プロジェクトに貢献していくためには、求められている以上にアウトプットができることが必要です。時間管理を有効に行い多くのタスクを遂行しつつ、自己啓発のための学習も並行することで業務のレベルを上げていきたいと思います」

稲邑「プロジェクトが終結した時、関わった人が「めちゃくちゃきつかったけど、良い経験になった。やって良かった」と思えるようにしたいです。そこに到達するまでには、悩んだり迷ったり、「これでいいのかな?」と不安になることもあると思いますが、プロジェクトには熱意を持ったメンバーがたくさんいます。

一人ひとりが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、それぞれの価値観や想いを大切にし、ぶつかり合いながらも一緒に前に進んでいける強いチーム作りにこれからも取り組んでいきます」

※ 記載内容は2024年3月時点のものです

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