寺尾 和展
原田 健介
松田 有希
データプリントサービスを担う、サービスデリバリー部 SD1グループ
──所属部署のミッション、役割を教えてください。
寺尾「私たちが所属するエンタープライズサービス事業本部 サービスデリバリー部 SD(サービスデリバリー)1グループは、板橋事業所(東京都)、土佐堀事業所(大阪府)、中井事業所(神奈川県)の3つの生産拠点で、プリントおよびメーリングサービスを中心とするドキュメントサービスの設計から運用までのQCD(※1)保証を担っています。
われわれのミッションは、生産効率の最適化を推進するため、各拠点の強みを活かした最適な生産機器の配置検討や、拠点間の連携管理、生産ラインの作業手順の標準化を推進しています。
この他にも、委託先や生産設備・部材などの管理、新規業務の運用設計、既存業務の仕様変更対応、営業部門やお客様からのお問い合わせ対応、生産ラインからのエスカレーション対応、品質・コスト改善活動など、業務は多岐にわたります」
──それぞれの担当業務を教えてください。
松田「土佐堀事業所の生産管理とサービスデリバリー部全体の品質改善活動を担当しています。その他、生産ラインのスケジュール化や、連絡事項・指示事項を管理するシステム構築に向けた運用検討も行っています。
これまでは教科書やテキストといった少品種大量生産ラインの受注を担当していましたが、2023年から請求書や成績表といった可変情報のプリントを行う生産ラインの管理業務にも携わっています」
原田「板橋事業所で生産ラインのQCD保証の取り組みに加えて、2023年から生産ラインの稼働最適化を検討しています。たとえば、最近のローコード開発ツール(※2)を使うことで、担当者が個別に業務仕様を策定するのではなく、「作成→共有/確認→承認→展開」までワークフロー化するなど、効率的で属人化を防止し、品質改善につなげる取り組みにもチャレンジしています。
これに関連して、サービスデリバリー能力を保証していくために、将来の生産ラインの最適化について検討を進めています。自身の経験の中でもっとも難易度が高く、やりがいも大きいことから責任と緊張感を持って取り組んでいます」
寺尾「品質管理をメインに担当しています。インシデント発生の未然防止に向けてヒヤリハット(※3)の収集や分析、品質担保に向けて作業手順の検討・標準化を推進、各拠点の現場で標準手順通りに作業が実施されているかの監査などを行っています。
また、生産部門発信で新しいサービスを創出しようと、各拠点でチームを組み、サービスデリバリー部全員で新しいサービスの立案に向けた活動を始めています」
──生産ラインのQCD保証業務における役割分担はどのようにしていますか?
原田「工程ごとの担当は置かずに部全員で管理をしています。メンバーそれぞれ得意な分野があり、それぞれの強みを活かし連携して取り組んでいます。寺尾さんは、とくに品質管理における知見がありますし、私であればメーリングの工程に知識があります。
ただ、ひとたびトラブルやクレームが発生してしまうと、それを最優先に対応する必要があるので、各工程に担当を付けるのではなく、拠点を跨いで部全員で連携し、相互にフォローし合える体制をとっています」
※1 Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の頭文字を並べたもの。生産管理において欠かすことのできない重要な要素
※2 ITエンジニアによるプログラミングなどを必要とせず、画面上のドラッグ&ドロップ操作でアプリケーションを作れる開発プラットフォームのこと
※3 人の不注意や判断ミスにより、インシデントの可能性につながる危険な状況や行動のこと
一人ひとりの率直な意見や多様な考え、気づきを吸い上げて組織運営に反映
──組織風土として失敗を恐れずに行動したり、遠慮せずに発言できたりする雰囲気はありますか?
原田「誰でも失敗したくないと思うことは当然のことですが、失敗やミスは起きてしまうものです。SD1グループではミスが発生したときに、周りのメンバーがフォローしてくれる環境があります。
各工程に担当を付けずお互いの業務を補完し合える体制になっているので、ミスを過剰に恐れるのではなく、そこからどう対策を打つのか、今後同じことが発生しないためにどうすべきかと前向きにとらえる雰囲気があります」
松田「わからないことがあっても、ベテラン社員に確認すると丁寧に答えてくれるのでとてもありがたいと思っています。部全体の雰囲気が良く、オンライン会議などでも積極的に発言することができます」
寺尾「サービスデリバリー部は現場を見る仕事です。部長、グループ長、メンバー全員が物理的に近くにいる環境なので、すぐに相談し合えることが良いと思いますし、クレームなどが発生すると全員でリカバリーに取り組めるので安心感があります」
──多様性の尊重という面についてはどのように感じていますか?
原田「SD1グループは全体で100名近い大きな組織です。メンバーの多様な意見を取り入れて運用に反映させています。一例を挙げると、品質改善活動の一環で、社員・現場管理者・作業メンバーが現場で直接コミュニケーションをとってヒヤリハットを集める活動をしています。
集めたヒヤリハットをもとに作業手順を見直し、現場の声が反映される仕組みになっています。個人が思っているヒヤリハットを吸い上げて、1人がわかりづらいことは、みんながわかりづらいこととして仕組みとして改善していこうとしている点が多様性を尊重できているのではないかと感じています」
──万が一、ミスが発生したときはどのようなコミュニケーションをとっていますか?
松田「ミスが発生した際に何が起きていたのか、メンバーに状況を丁寧に聞き取りし、真因を突き止めるようにしています」
原田「世の中でセキュリティーに関する意識が年々上がっていることもあり、半年に1回の頻度でプリントサービス版のセキュリティー教育を実施する方針です。部全体でセキュリティー意識の底上げをしていく取り組みを推進しています」
寺尾「プリントサービス版セキュリティー教育は、社員に限らず部のメンバー全員が受講します。セキュリティー教育でもメンバーに伝えていますが、仕組みを改善することを共通認識として持つことで、ミスした人を責めるということはないですし、教育も浸透し始め、比較的誰もが仕組みの方が悪いという認識が広がってきています。万が一発生したミスに関わった人も安心して発言できるような雰囲気があります」
原田「生産における品質管理ですので三現主義(※4)に立ち、何が起きたのか事実ベースで情報を集めます。ヒアリングだけでは聞き取れなかったものが出てくることがあるので、ヒアリング結果だけを参考にするのではなく、事実として何が起きていたのかを重要視しています。」
──ミスの防止に向けてどのような工夫をしていますか?
寺尾「ミスが発生してから対策を考えるのではなく、そもそもミスが発生しないような仕組みづくりが重要です。たとえばチェックを増やせばミスは防げるかもしれませんが、チェックが増えすぎると効率が悪くなる上に、そのチェック自体がおろそかになるリスクもあります。そもそもミスを発生させないために根本原因を明確にしてそこに対策を打つことを意識して活動しています。
またヒヤリハットはミスになる前に内部で発覚するものです。セキュリティー教育でも「ミスは起きるもの。大事なことは再発しないように仕組みを変えること。そのためにもヒヤリハットは率直に上げてほしい」と発信しています。それが浸透しているので悪いことが起きた場合も報告が上がってくる環境ができてきていると感じています」
原田「ヒヤリハットの起因は社内外さまざまなところにあります。現場の作業メンバーがヒヤリハットをどんどん報告してくれるようになったおかげで、お客様から感謝のお言葉をいただくこともあります。そういった作業メンバーを奨励して社内で表彰する取り組みを始めました。ミスを後ろめたく思うのではなく、前向きにとらえ、部全体で「ミスを見つけてくれてありがとう」という雰囲気が醸成されていると感じますね」
※4 机上の空論ではなく、実際に“現場”“現物”“現実”の3つの現を重視した上で問題解決を図る考え方
率直な発言を歓迎する組織風土を強みに、新たなサービス創出活動に挑む
──組織内のコミュニケーションの取り方について教えてください。
寺尾「会議は月1回の部のミーティング、週次で各グループのミーティングがあります。その他、タスクミーティングもあるので拠点を超えて目的に応じた複数のメンバーとコミュニケーションがとれています。少しミーティングが多いかもしれないですね(笑)。ただそれだけ情報共有が大事な組織であると思っています」
原田「中井事業所と土佐堀事業所のメンバーが板橋事業所を来訪し、品質改善状況を確認することがあります。異なる事業所でも顔を合わせる機会が多くなりコミュニケーションがとりやすくなったと感じています」
──タスクではどういった活動をしていますか?
寺尾「世の中のペーパーレス化の加速に伴い、生産現場でも生産量が少しずつ減ってきている中で、新しいサービスを作っていかなければならないという意識が事業本部全体の社員に浸透しています。そんな中で私たちは生産の目線から何か新しいサービス提案ができるのではないかと検討しています。2023年の後半からはこの検討活動を部を挙げて進めています」
──上司とのコミュニケーションは取りやすいですか?
原田「グループ長がよくお昼休憩などにメンバーとコミュニケーションを取ってくれています。本当に雑談なのですが(笑)。上司からの積極的なコミュニケーションが日頃からあるので業務においても話しやすい関係性が築けていると感じています」
寺尾「タスクミーティングは部長やグループ長も参加しますので、進捗についてアドバイスをもらったり、メンバーが業務上判断をしなければならない場面ではサポートしてもらったりします。必要な裁量権を与えてもらえるので業務がうまく回っていると感じています」
──他部署とのコミュニケーションについてはいかがですか?
原田「当社はお客様に合わせて個々に運用を作っていくところが強みですが、それを実現するためには、とにかく開発部門や営業部門と密なコミュニケーションを取っていかなくてはなりません。お互いに認識のズレがないように、丁寧なコミュニケーションを取るよう意識しています。
またトラブルが発生すると、はじめは原因が営業の仕事の取り方にあるのか、開発の設計にあるのか、生産の運用の仕方にあるのか、それ以外にあるのか、どこにあるかわかりません。そのため、決めつけて考えない、決めつけた発言の仕方にならないようにコミュニケーションの取り方に気をつけています。言い方によっては受け止め方が変わってくるので、フラットに聞くように意識しています」
寺尾「現場からの改善要望など仕組みで対応するために、既存の管理システムのプログラム改修が必要なものや、お客様との調整が必要なものについては、開発部門や営業部門に対応を依頼しています。ただ依頼して終わりではなく、こまめにコミュニケーションを取り、こちらで協力できることがあればサポートするなどして依頼した後の進捗管理まで実行していかなければならないと感じています」
目標の実現に向けてSD1グループがめざす組織風土とは
──SD1グループの組織風土をより良くしていくためには何が必要だと感じますか?
寺尾「みんなが同じ方向を向いて進んでいける組織が良い組織であり、強い組織だと思っています。そのためには個々の考えを共有していくことが重要だと思うのですが、やはりコミュニケーションを取っていく上でお互いがストレスにならないよう、年齢だとか立場にかかわらず相手に敬意を持って接するように意識していきたいと思っています」
原田「サービスデリバリー部全体で目標に向かって進んでいけるように頑張りたいと思っています。その中で一人ひとりがさまざまな意見を持っているので、もらった意見に対してまずは受け止めて否定をしない、些細なことですがそれを大事にしていきたいと思っています。
メンバーに何かをお願いする際は「あなたはこれをやってください」という言い方も気をつけないといけないと思っていて、「あなたは」ではなく「私たちは」と主語を変えて、みんなで取り組んでいるんだという意識を持ちながら活動を進めていきたいと思っています」
松田「今までのやり方にとらわれず、新しい意見を出していきたいと思います。気になったことはどんどん質問して確認して、新しい意見を発信することで組織に貢献していけたらいいなと思っています」
※記載内容は2024年2月時点のものです