田口 裕也
中央省庁に対する営業と、所属事業本部内への情報提供を担う重要な部署
田口が所属するのは、公共事業本部 本店営業部。持続的な事業成長をめざし、中央省庁に対する提案活動として国の新たな制度設計および施策への支援と、全国の自治体に営業活動を展開する公共事業本部内への情報提供などの支援活動を主に担っています。
田口 「われわれ本店営業部のミッションはふたつ。ひとつは、中央省庁様担当組織として、各省庁様のマクロ環境の変化や自治体基盤サービスに対する国の政策的動向を把握し、国の新たな制度設計や各施策への支援を行うこと。
たとえば、当社のお客様である全国約1,700の自治体様の現場の声や当社の『戸籍総合システム』だけでなく全国の戸籍情報システムに関する動向などを各省庁様へ提供することで国の施策の一端を担っています。
もうひとつは、各省庁及び自治体基盤サービスに関係する政策的な動向をキャッチアップして当社の自治体基盤ビジネスの拡大に向けて公共事業本部全体に情報連携すること。本店営業部は『国と自治体をつなぐ橋渡し、そして持続的な事業成長を担うチーム』という位置づけです」
本店営業部が新設されたのは2018年。各省庁の窓口を務める重要な部署ということもり、社内の各部門からさまざまな知見・スキルを持ったメンバーが集められました。
田口 「公共事業本部内の営業出身のメンバーもいれば、お客様と技術的な会話をする場面も多いので、開発SEやサポート技術などがバックグラウンドのメンバーもいます。中には原価管理を担当していたマネージャーもいました。私自身もここに来る前は、当社クラウド事業の設計を担うグループに所属していました。
現在の業務は、以前の部署で担当していた内容とは全く異なる仕事であるため、はじめは戸惑いました。ですが、着任して1年目から大きな仕事を任せてもらえるなど、裁量権が大きいというのが率直な印象です。また、組織の雰囲気も良く、先輩にいつ相談しても嫌な顔もせずに丁寧に説明してくれるので、安心して挑戦できる環境だと感じています」
本店営業部では案件ごとに担当を配置しますが、省庁単位で担当が分かれているわけではなく、それぞれ強みを発揮しながら、メンバー全員で協力しながら業務に当たっています。
田口 「前の部署ではネットワークエンジニアを務めていました。デジタル庁が定める『地方公共団体情報システム標準化基本方針』に沿って、近年、当社が全国約7割のトップシェア(2022年5月末時点当社調べ)を占める『戸籍総合システム』をガバメントクラウドに移行する計画があるので、これまでに培ってきたクラウドの知見を活かして本店営業部内に情報提供できていると感じています」
新たな挑戦と成長実感がモチベーションに
2022年4月から本店営業部で勤務する田口。2023年3月現在は外務省への提案活動のほかにも複数の業務を担当しています。
田口 「外務省様への提案活動と、国土交通省 地方支分部局様への提案活動、全国約1,700の自治体様への提案支援と、大きく三つの業務に携わっています。当社では自社システムである『戸籍総合システム』において全国トップシェアを獲得していることから、全国の戸籍情報システムにも精通しているため、システムを利用している自治体様に関する情報提供を国から求められることもあります。
案件を抱えているときは提案に向けた活動にかかりきりになりますが、そうした要望に一つひとつ応えていくことも、国との信頼関係を構築していく重要な仕事だと考えています」
着任以来、田口は外務省の案件を担当。先輩からのきめ細やかなフォローを受けながら田口の提案活動が実を結び、担当の案件を富士フイルムシステムサービスが請け負うことに決まりました。
田口 「戸籍法の一部が改正され、行政手続の際に戸籍の全部事項証明書・個人事項証明書の添付が省略可能となるのにともない、戸籍情報を確認するために戸籍情報システムが活用されることになりました。案件を獲得できたことで、これから約1年にわたり継続して外務省様の担当営業として納品まで務めてまいります。それと並行して、今後の案件についても受注に向けて提案活動を進めていく予定です」
本店営業部への異動後、すぐに大型案件を任されることになった田口。そこに至るまでには苦労が多かった反面、新しい挑戦に対する楽しさもあったと振り返ります。
田口 「戸籍情報システムのことを理解した上で、システムの機能や自治体様の運用方法、さらには海外に住む日本人の負担や手続きの実態など、さまざまなケースがわかっていないと、提案どころかお客様と会話すらできません。本店営業部への配属直後のころは、チームメンバーにかなり助けられたのを覚えています。
一方、これまでできなかったことができるようになっていく実感もありました。各省庁様に足を運ぶことはもちろん、お客様と打ち合わせするのも初めて。そうした新しいことを一つひとつこなせるようになることがモチベーション向上につながっていました」
また、全国の自治体への提案支援では、戸籍情報システムを取り巻く環境変化について、プレゼンテーションも担当しています。これらの経験を通じて、お客様からお言葉を直接いただき、やりがいを感じながら前向きに取り組んでいます。
田口 「当社の各営業部門が主催となり、全国各地の自治体のみなさまに向けて当社のサービスやソリューションをご紹介するフェアを実施しています。そこで登壇させていただき、自治体のみなさまに向けて、『戸籍に関する中央省庁様の動向』について情報提供を行いました。より詳細な情報提供をするために、90分という長時間の枠の中でプレゼンテーションを行い、合計すると数十回は担当したと思います。
また、国の動向は日々更新されるため、資料の内容は随時更新をかける必要があります。中央省庁様の発信する情報をそのままお伝えするのではなく、自治体の方々にわかりやすい説明となるように情報を噛み砕いて資料作成することを意識しました。
そもそもプレゼンテーションの経験がまったくなかったので苦労もありましたが、『わかりやすかった』『ありがとう』とご参加いただいたみなさまからご感想を頂戴し、やりがいを感じました。自治体様の困りごとを解決するお手伝いをすることを、本店営業部だけでなく、公共事業本部全体が大切にしています。苦労に感じたこと以上に、自分も公共事業本部の一員として、自治体様のお役に立てていると実感がもてた印象的な瞬間でした」
国の方針を理解し、実際に動かしていくためのお手伝いができることがやりがいに
戸籍関連業務や戸籍情報システムに関する知識不足を感じ、いまも苦労することがあると話す田口ですが、一方で本店営業部の仕事に大きな意義を感じていると言います。
田口 「全国の自治体様をお客様にもつ当社の強みは、自治体様の実際の業務内容に関する知見・ノウハウを保有していること。戸籍業務は国ではなくそれぞれの自治体様が管理していることもあり、中央省庁様は実運用に関する情報を持っていないケースが多々あります。
そのため中央省庁様から自治体様の実態について問合せを受けることがあり、そのような意見交換のなかで国の方針を理解し、自治体様の現場の声を届けることはいわば国のインフラを支える仕事であり、やりがいを感じています」
本店営業部に着任して1年弱ながら、大きな案件を任され無事にやり遂げるなど、慣れない業務ながら存在感を発揮している田口。仕事をする上で大切にしていることがあります。
田口 「われわれの仕事を円滑に進めていく上で最も重要なのは、中央省庁様や自治体様との信頼関係を構築することです。いまはこれまで本店営業部として築き上げてきた信頼を壊さないことが自分の役目。良好な関係性を維持するために、迅速かつ正確にお客様の要望に応じた情報提供をすることを大切にしてきました。
これまで本店営業部で築き上げたお客様との信頼関係の土台のおかげで、私自身もお客様と良いお付き合いをさせていただいています」
実務面では、知識が少ないことを自覚し懸命にキャッチアップに努めてきた田口。実地を通じて学ぶことが多かったといいます。
田口 「実際に資料をつくりながら戸籍情報システムの知識を習得してきた部分が大きいと思います。国の方針に合わせた資料の更新が多かったのですが、更新のたびに資料や話すシナリオをブラッシュアップし、練習を重ねた上で、プレゼンテーションに臨んできました」
一方、周囲の環境にも助けられてきました。
田口 「自分でも勉強していますが、部内では定期的な勉強会を実施していたり、メンバーが入手した情報を共有する場が設けられたりなど、本店営業部全体で協力しながら情報を積み上げています。先輩社員も相談しやすく、とても学びやすい環境を用意してもらっていると思います」
仕事を通じて、貴重な経験ができることが醍醐味
若手では任されないような規模の仕事を早いうちから見聞きしたり、経験できたりするところにいまの仕事のおもしろさがあると話す田口。本店営業部で働く醍醐味についてこう続けます。
田口 「本店営業部がやっているのは、本来であれば経験を積んだベテラン社員が行うような仕事。担当する案件の規模が大きいため、当然それだけの重責を担うことになりますが、これまで公共事業本部全体で長く積み重ねてきた歴史や知見を背景に、比較的若いうちから中央省庁様と関わり、貴重な経験ができることが魅力だと思います」
現在関わる外務省の案件には、提案途中から参画している田口。当面の目標は、自ら主体となって案件を受注していくこと。
田口 「今回受注した案件は、先輩たちが何年もかけて提案活動を行っていました。そして、お客様との信頼関係ができあがったところで、異動になった自分が担当し、最後の詰めの業務に携わらせてもらって受注に至りました。まだ本店営業部に来て1年足らず。先輩たちの人脈を引継ぎ、さらに新たな自分の人脈も構築して、お客様のお役に立てる提案をしていきたいですね」
そうした展望を踏まえ、いま本店営業部が求める人材、適性のある人材については次のように話します。
田口 「本店営業部にはルーティーン業務がない上、常に更新される新しい情報に適切に対応しなくてはなりません。いろいろな環境、いろいろな業務に柔軟に対応できる人が向いていると思います。さまざまなスキルを持つ人が集まっている組織なので、経験は問いません。必要な資質があるとすれば、そのような環境を楽しめる気持ちを持っていることでしょうか。
さまざまなスキルをもったベテラン社員中心の部署ということもあって、若いメンバーの育成が急務となっています。ともに学び、成長できる方と出会えるのを心待ちにしています」
未経験の業務にも真摯に向き合い、知識をアップデートすべく常に自己研鑽を重ねる田口。富士フイルムシステムサービスが担う、国と自治体をつなぐ重要なポジションでの田口の挑戦は続きます。