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新規事業の開拓を技術力で支援。開発効率の向上に取り組む若きプロフェッショナル

デジタル戦略推進部のテクニカルプラットフォームサービスグループの真鍋 大地。インフラエンジニアとして、全社的な開発効率の向上に向けた技術評価・人材育成などを担当しています。仕事のやりがいや今後の展望など、真鍋の想いに迫ります。

真鍋 大地

開発基盤の標準化を進め、コア部分の開発に集中できる環境を整備

真鍋が所属するテクニカルプラットフォームサービスグループでは、主にふたつの活動を行っています。ひとつ目は全社的な開発の技術向上、もうひとつはICTを防災に活用する防災・減災DXプロジェクトのソリューション開発です。このうち真鍋は、前者の活動に携わっています。

真鍋 「当社ではAmazon Web Services(以下、AWS)を用いた開発を行っています。技術や方式を評価し、新サービスを提供しようとしている開発部門に展開することで、開発者が高速かつ効率的に開発するのを助けたり、その活動を通じて各部門の技術者を育成したりするのが私の役割。

ログイン機能やデータベースとやりとりする機能など、どのシステムにも必要な基盤の標準化を行い、それらを全社に展開することで、開発準備段階の工数の大幅な短縮が可能です。開発者が新サービスのコアとなる部分の開発に集中できるための環境づくりをしています」

開発基盤の標準化に向けて奮闘する真鍋。その目線の先にはいつも技術者たちがいます。

真鍋 「汎用性が高いもの、中でも認証系の機能に優先的に取り組むようにしています。認証系の機能はどの部門のシステムでも使われますし、同じ会社が提供しているのにログインの仕様がシステムごとに違っていては不便ですから。

また、開発部門の負担をどれだけ減らせるかも優先順位を決める指標にしています。アプリケーションをAWSに自動的に配置させたり、あるシステムで使った設定をほかのシステムに転用してすぐにシステムの状況をモニタリングできるようにしたり。改善効果の高いものから取りかかるようにしています」

業務の遂行には先端技術の研究が欠かせません。自己研鑽にも余念がないと言う真鍋。

真鍋 「外部の講習や書籍から得た知識を実務で使うというサイクルを回しながら、自社で活用できそうなものを探しています。資格取得にも積極的です。AWS認定ソリューションアーキテクトにおいてアソシエイトの認定を受けており、2022年12月現在はプロフェッショナル認定に向けて勉強しています」

効率的な開発を支えたい──原点は、ロケット制作サークル時代のPM経験

▲大学時代の真鍋(黄色いヘルメットが真鍋)

大学時代の経験が、真鍋のエンジニアとしての原点。ロケット制作を行うものづくりサークルに所属し、秋田県能代市のJAXAの実験場の近辺で打ち上げ実験を行いました。

真鍋 「ロケット制作は、最初に各チームが設計を行い、製作のために必要な部品とその費用を見積もってスケジュールを策定。制作後は、リハーサルを経て当日に臨むという流れです。今になって振り返れば、ウォーターフォール型開発のプロセスを経験できたと思っています」

大学3年生からはサークルの代表に。プロジェクトマネージャーとしてチームが開発しやすい環境づくりに力を注ぎました。

真鍋 「各チームに、ロケットマニアのような人がいて。ロケット制作に集中したい彼らを支える立場で活動したいという気持ちが芽生えました。代表といっても、リーダーというより相談役のような役割を担っていました。

部品を開発するチームの補助というかたちで、各チームが効率よくロケット制作に打ち込めるためのツールづくりやタスク管理を行うのが私の役割。実際の打ち上げ後には想定どおり飛ばせたかどうかを評価し、次の世代にノウハウを伝えていくこともしていました」

サークルでの経験をとおして開発の効率化支援への関心を強めた真鍋。IT企業のなかでもとくにBtoB企業に的を絞って就職活動をしていたと言います。

真鍋 「働く人たちがより効率良く働けるための環境整備に貢献できるような仕事がしたいと考えていました。中でも富士フイルムシステムサービスを選んだのは、若手のうちから大きな裁量権を持って仕事ができると思ったから。

バリューチェーンが複雑な大手企業と違い、全体の工程が俯瞰しやすい上に営業部門とも距離が近いため、お客様のフィードバックを身近に感じられると思い、入社を決めました」

4つの案件で成果。某府省の関連組織向けシステム基盤構築ではリードタイム短縮に成功

入社以来、社内の開発者のサポート役として、コンサルタントのようなポジションを務めてきた真鍋。直近では、移行作業のプロジェクトに力を注いでいます。

真鍋 「開発者にとっては、馴染みある技術を使い続けるほうが楽ですが、そうなるとだんだんと技術が古いものになってしまいます。外部環境の変化に適応していくためにも、開発者の負担にならないように新しい技術を取り入れることのできる仕組みを作ることが大切です。

とくに自治体様のケースでは、専用のネットワークを通じて配信する必要があります。ネットワーク要件に合わせてアプリケーションを構築しなくてはならないため、アプリケーションの設計段階からプロジェクトに入り込んでお手伝いをしています。また、アプリケーションの配信実績が少なく、標準化されていない状態だったりするので、横展開をするのには苦労しますね。

端末のバージョンなど、自治体様ごとに環境はまちまち。技術者の力でそれぞれの環境に対応していくのではなく、営業部門の力も借りて端末のアップデートを依頼するなど、当社と自治体様の両方にとって負担が少ない方法を模索しながら進めています」 

真鍋はこれまで、4件の大型プロジェクトに携わってきました。中でも印象に残っているというのが、防災・減災DXプロジェクト。ネットワークをつないでアプリケーションを配信するための基盤づくりをほぼ単独で整備し、顧客である自治体の利用者から「使いやすかった」とフィードバックを受けたほか、開発部門からも感謝されるなど、手ごたえを感じました。

また、某府省の関連組織向けのシステム基盤の構築にも携わった際にも、大きな成果を残しています。

真鍋 「基盤にはコンテナとしてAmazon Elastic Container Service (以後、Amazon ECS)を使用しました。Amazon  ECSではAWS Fargateというコンテナを立てるのですが、もし問題が起きてそのコンテナが動かなくなっても、自動的に新しいコンテナをつくり出す設定になっているのが特徴です。

その設定をTerraformというツールを使ってコードに書き留めておくことで、別のプロジェクトでも設定が応用できるようにし、結果的に基盤構築の工数の7~8割を削減することができました」

同案件では、作業のリードタイムを1週間以上短縮させることに成功。しかも作業が自動化されたことで、開発者が基盤構築後の開発作業に集中できるようになったと言います。

真鍋 「アプリケーションをリリースするために必要な工程を自動化したことで、コマンドを打つだけでアプリケーションをアップデートできるようになりました。エラー通知があった際にだけ対応すればいいので、運用面での負荷も大幅に低減できています」

2020年度の入社ながら着実に実績を積み上げている真鍋。富士フイルムシステムサービスの優位性についてこう分析します。

真鍋 「数人規模のコンパクトな開発体制で、お客様にMVP(Minimum Viable Product)提供しているという意味では、ベンチャー企業のようにチャレンジングな新規事業開発を行える機会があります。

一方で、顧客基盤に強みがあり、お客様からフィードバックを受けやすい関係性があるところが当社の強みだと感じています。とくに自治体様向けの戸籍総合システムにおいては、これまでの実績があるため自治体特有の作法などを踏まえて支援できるところが、業界内での優位性につがっていると思います」

ユーザーが本当に必要とするサービスを提供し続けられる組織であるために

これまで富士フイルムシステムサービスでは、的確に要件定義を行った上で、ベンダーといかに連携をするかが重要視されてきました。ところが、近年ではその流れが変わりつつあると言います。

真鍋 「IT技術の進歩にともない、自治体様ではより利便性の高いサービスの開発のニーズが高まりつつあり、新規サービスの開発により注力すべき段階にあります。そんな中、開発をベンダーだけに任せていると、どうしてもお客様にお見せするまでのリードタイムが長くなってしまいます。

そのため、アプリケーションの完成形が見えていないようなときは、まずこちらでプロトタイプをつくってからお客様に試していただくケースが増えてきています。従来とは違うサービスを提供するためにも、今後ますます標準化を進め、内製でMVPを作るためのリソースを確保していく必要があると感じています」

こうした開発体制の移行期の中、開発者の業務効率化において欠かせない役割を担う真鍋。

真鍋 「世の中の流れに対応していくためにも、変化に強く、かつ自動的にシステムを監視する仕組みを作り、開発者の生産性を高めていきたいと考えています。やはりお客様にいかにはやく製品を使っていただき、フィードバックをいただけるか。それがサービスの価値の向上につながります。

お客様に製品をお見せするファーストステップを早めるためにも、開発者が開発することだけに集中できる環境を作っていきたいです。そのためにもスペシャリストとして知識を深めていきたいですし、今後はさらに活動の範囲を広げて全社的な貢献ができるポジションを目指していきたいですね」

また、開発プロセスの変革にも意欲的です。

真鍋 「現在、ウォーターフォールモデル型開発を採用し、完成した製品をお客様に提供することがまだまだ多いです。しかし、新規サービスを開発するにあたっては、まずプロトタイプを提案した上で、フィードバックを受けながらブラッシュアップを重ね、最終的にユーザーが本当に必要としているものを提供できるような文化を醸成する必要があると考えています」

大車輪の働きで開発基盤の標準化を進め、業務効率化に貢献してきた真鍋。今後も時代を先読みしながら、富士フイルムシステムサービスの強固な開発体制を陰で支える重要なポジションを担い続けます。

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