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鋭い視点で“最適解”となるシステムを模索。未来の社会基盤を、自分の手で作っていく

2009年入社の佐々木 道雄は、入社以来長らく自治体向け「戸籍総合システム」の導入支援を担当してきました。現在は「戸籍総合システム」のクラウド基盤設計を担当。市場変化を的確に捉え、臨機応変に対応できるよう、知識・スキルをアップデートし、未来の社会基盤となる事業を手がけていく佐々木の姿に迫ります。

佐々木 道雄

「戸籍総合システム」をクラウド化。自治体全国シェア約7割を担う企業の責務

佐々木は2023年1月現在、公共事業本部 クラウド事業推進部に所属。クラウドやネットワークの知識を駆使し、主に3つの事業を手がけています。1つ目の事業は、現在、自治体で稼働している「戸籍総合システム」を、クラウドに移行させる事業です。

佐々木 「『戸籍総合システム』は現在、全自治体様の約7割にあたるおよそ1,200もの自治体様に導入いただいています。これまでは自治体庁舎にサーバーを置くいわゆるオンプレミス型が主流でしたが、さまざまな環境変化を受けて『戸籍総合システム』をSaaSとして提供するクラウドサービスを2020年の1月にローンチしました。現在の業務は、その移行事業です。

私の所属するクラウド事業推進部は、3つのグループに分かれており、私が所属しているクラウド設計グループはクラウド基盤の強化に取り組む役割を担っています。その他、オンプレミスからクラウドへの移行を推進する役割を担うグループと、システム稼働後のアフターフォローを担うグルーブで構成されています。私はクラウド設計グループのリーダーを務めています」

現在のクラウド事業推進部全体のメンバーは約80人。新卒入社と中途入社がおおよそ半々で、20代半ばから30代半ばのメンバーが中心という、若手社員が多い溌剌とした雰囲気の組織です。

佐々木 「クラウド事業推進部が発足したのは2018年。私は発足当初から所属しています。ただ、さかのぼると2016年ごろから『戸籍総合システム』をクラウド化したほうが良いのでは、という議論は始まっており、当時から私は議論に入っていました。

クラウドサービスを2020年の1月にローンチさせ、2022年末時点で数百の自治体様がその基盤上で稼働しています。ただ、最終的に1,000以上の自治体様の情報をクラウドへ乗せていく計画があるため、BCPなど基盤をより強化するのが喫緊の課題。また、日々のインシデント対応やサイバー攻撃への備え、法改正に向けた改善なども担っています」

国が掲げる抜本的な課題解決に、私たちの技術力を提供したい

2つ目の事業は、2022年の10月に閣議決定された「地方公共団体情報システム標準化基本方針」にまつわる対応業務です。

佐々木 「これまで自治体様では 、それぞれが選定したベンダーと独自に仕様調整をしてシステムを構築してきました。その結果、各自治体間でのシステム連携がとりにくいという課題が生まれてきたのです。そこで、自治体主要20業務について、システムの仕様を標準化・統一しましょうという、国からの方針が示されました。

標準化システムへ移行する業務には、当社が長らく取り組んできた戸籍の領域も含まれています。国の方針に則って、『戸籍総合システム』も刷新しなくてはなりません。これからまた、『戸籍総合システム』をクラウドへ移行する事業を立ち上げたときのように忙しくなると思っています」

システムの標準仕様への統一と同時に、それを国が一括調達した「ガバメントクラウド」上で稼働させることが努力義務とされています。標準化システムへの移行に合わせてガバメントクラウドへの乗り換えが加速され、これまでのビジネスモデルを見直すことが必要となります。

佐々木 「ガバメントクラウドを利用するかどうかの最終的な裁量は自治体様にありますが、われわれとしてはガバメントクラウドで『戸籍総合システム』を動かすための設計を進めているところです。

デジタル庁が示すガバメントクラウドの技術仕様も徐々に明らかになってきました。細かい仕様や設計の決定はこれからですが、そこで私たちがデジタル庁に提言できる部分があるのではないかと考えています。というのも、当社の『戸籍総合システム』は全国シェアNo.1(2022年5月末時点当社調べ)だからです。

すでに数百の自治体様を抱えるクラウドサービスを運用していますので、われわれの知見を提供することで、国が掲げる抜本的な課題解決をお手伝いできればと思っています」

どのような設計が最適なのか──佐々木は、営業サイドなどの意見も取り入れながら、模索を続けているところです。

佐々木 「自治体様の標準化システム移行をご支援し、継続して当社をお選びいただける設計にしたいと考えています。そうした中で、『戸籍総合システム』のさらなるシェア拡大にも挑んでいきたいですね。シェアNo.1企業の座を、揺るぎないものにしたいです」

新規事業はこれまでと違う“組織を超えた連携”によるおもしろさを感じる

3つ目は、当社の新規領域における自治体向けインフラ支援事業です。

佐々木 「『戸籍総合システム』のクラウド移行事業とは異なる、新たな事業領域を目指して昨年度から取り組んでいるのが、当社の新規領域における自治体様向けインフラ支援事業です。これは簡潔に言えば、AWSで開発したシステムを、インターネットを介さずに自治体様に提供できる、新しいネットワークインフラです。

各ソリューションの特性によりますが、システムを自治体様へと提供する場合、インターネットを使えないケースが多々あります。そのため今回、LGWAN(Local Government Wide Area Network)という、全国の自治体様ですでに整備されている行政ネットワークに着目。これをAWSとつなぎました。

LGWANはもともとインターネットから分離されたネットワーク。LGWANのセキュリティ規約を遵守しつつAWSとつなぐことで、インターネットを介さずに、自治体様にシステムを届けられるようになっています」

こうした新しい取り組みは、社内公募のイベント・プログラムから始まったと佐々木は振り返ります。

佐々木 「この事業の発端は、2020年に参画した社内の新規事業開発プログラムです。民間企業をお客様とする部署のメンバーと共に『教育現場の働き方改革』というテーマで教育業界にチャレンジし、現場の手作業による非効率やシステム間連携の不足を技術により解決しようと試みました。

しかしながら個人情報を取り扱う特性からインターネットが使えないという制約があり、クラウドでサービスを構築しても、それを非インターネットでお客様に提供する仕組みがありませんでした。PoC(Proof of Concept)の段階でお客様にクラウドとの閉域回線を引いていただくのはコスト的・期間的にもハードルが高く断念せざるを得ませんでした。

結果としても、本取り組みは事業化には至りませんでしたが、戸籍関連のシステムしか知らなかった自分の視野を広めるきっかけになりましたし、公共市場の他の領域でも同じようなネットワークの課題を抱えていることも分かりました。それまでもLGWANとクラウドをつなぐ検討は漠然と進めてはいましたが、この経験から必要性が確信に変わりました」

現在は、「戸籍総合システム」クラウド移行事業の設備を一部活用しながら、クラウドを使ってスモールスタートでネットワークインフラを構築していると言う佐々木。その結果、大きなコストをかけることなく新規事業のPoCや市場展開をすることが可能になりました。 

佐々木 「新規事業ということで、今までとは、まったく違う発想と知識が求められる仕事でした。ただ、今まで関わりのなかった民間企業をお客様とする部署とも連携することで、全社的な活動ができたと感じています。

現在、防災・減災DXプロジェクトで利用されていますし、その他複数のプロジェクトが進行中です。また富士フイルムグループ各社からも、活用に向けた積極的な問い合わせが入ってきているところですが、まだまだ新しいサービスという立ち位置なので、引き続きお客様の声を聴きながら、社内にも啓蒙・推進していこうと考えています」

勉強し続けること、スキルや知識をつけることそのものがよろこび

▲執務室にて、チームメンバーと。二人は同期

佐々木は、日々の業務のベースに、これまで培ってきた視点を活かせていると感じています。

佐々木 「これまで私は、『戸籍総合システム』関連の業務で、地方自治体から政令指定都市、そして東京23区といった一通りの自治体様と関わりを持ってきました。その中で印象的だったのは、ひとつの自治体様で何かに成功したからといって、そのノウハウをそのまま他の自治体様に転用しても、上手くいくとは限らないということです。だから状況によって、お客様がどう感じるかを都度考え、動かなくてはいけないのだと学びました。

お客様によって、最適解は違う。過去の成功体験にとらわれず、常にそのときどきの最適解を探すように心がけています」

そんな佐々木が、今後取り組んでいきたいこととは。

佐々木 「今抱えている問題意識のひとつは、同じ会社でもサービスの設計・基盤を一から各部署で考え、作っており、個別最適されているため、統一性がないことです。まずは統一して、全社的なクラウドサービスに関する設計・基盤構築を実現していきたいですね。

それから、私も含めて、まだまだオンプレミスにこだわりが強い人が多いです。これからはどんどんクラウドネイティブな時代になる。よりスピーディーに価値のあるサービスを作ることが求められます。クラウドのスキルをもっと獲得し、それを踏まえて人材育成計画を練っていかなくてはと思います」

変わり続ける外部環境に対応し、常に自らをアップデートする佐々木。力強く走り続けられるのは、学ぶことそのものをよろこび、楽しんでいるからです。

佐々木 「勉強し続けること、スキルや知識をつけることそのものが、楽しいんです。それだけでも楽しいのに、学びを社会に還元できる。自分の成長がサービスの成長に直結していると感じることができ、なお嬉しい。そんな想いでやっています。それにこの仕事は、自分の開発した内容がシステムとして可視化される。目に見えるものを作っている感覚も、大きなモチベーションになっています。

また、会社の規模もちょうどいいです。自分の意見ややりたいことが反映されやすいし、若いうちから大きなことができる環境だと思います」

自分のスキルを活かせる絶好の環境で、挑戦を続ける佐々木。これからの世の中に欠かせない基盤を、その手で作り上げていきます。

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