根岸 泰光
宿野部 教明
業務設計から運用管理まで一貫したサービスで価値を追求
業務設計や運用管理を手がけるサービスソリューション技術部の中でも、サービス設計グループが担うのはBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスです。金融業界を中心に流通・製造・文教そして自治体など、多岐にわたる分野の顧客のニーズに応えています。
宿野部:当部門には3つのグループがあります。まず、金融系システムを担当し、営業から開発導入まで一貫して行うソリューション営業グループ。次に、プリントサービスを扱うサービスマネジメントグループ。そして、根岸さんと私が所属している、BPOサービスに特化したサービス設計グループです。それぞれ専門性を活かしながら、お客様の業務効率化を通じた価値提供をめざしています。
近年、DXの推進やデジタル化による効率化を経営方針として掲げる企業が増えてきました。これを踏まえ、お客様のニーズに合致した最適なサービスの提供に注力しています。
サービス設計チームのリーダーを務める宿野部。BPOサービス案件の業務設計に携わっています。
宿野部:サービス設計チームの主なミッションは業務設計です。営業担当と共にお客様先へ訪問し、詳細なヒアリングを実施して要件を固め、業務提案や見積もりを作成します。案件獲得後に、サービスの具体化に向けて社内の関係者との調整も行うのも当チームの役割です。
一方の根岸が率いるのはオペレーション設計チーム。既存のBPOサービス業務の管理、仕様変更や新規業務における運用設計を担当しています。
根岸:オペレーション設計チームのミッションは、サービス設計チームが策定した仕様を基に、BPOサービスの運用方法や手順を具体的に設計することです。また、仕様変更が生じた場合の運用設計の見直しも私たちが行なっています。
新規案件に関しては、サービス設計チームがお客様との折衝を担当しますが、すでに運用フェーズに入っている案件については、私たちオペレーション設計チームがお客様から運用に対してのフィードバックをいただくケースもあります。お客様の生の声を運用設計に反映させることで、お客様の業務プロセスによりフィットした実効性の高いソリューションにつながっています。
難しい仕事だからこそ挑戦し甲斐があると口を揃えるふたり。業務設計や運用管理の醍醐味を次のように語ります。
宿野部:現在、提供しているサービスにおいて、標準モデルの作成をめざしています。お客様と直接対話し、その要望をサービスの業務設計に落とし込む過程を主導できるところに、おもしろさとやりがいを感じています。
根岸:BPOサービスの運用の要となるのは、「人材管理」と「業務効率の最適化」です。適切なスキルセットを持つメンバーでチームを構成し、プロセスの自動化や、最新テクノロジーの適用など、より効率的な運用設計をすることが私たちの役割です。業務工程を分解し、再構築する過程には困難をともないますが、結果として高い生産性を実現できたときの喜びは格別です。
チームワークが生み出す相乗効果で、お客様のDXを支援
現在、サービス設計グループがとくに注力しているプロジェクトのひとつが、「法人請求オンラインサービス」です。
宿野部:「法人請求オンラインサービス」は、クレジットカード会社や保険会社などの法人が、債権回収や債務履行を目的として対象者の現住所を確認する際に、自治体に対して従来は郵送で行っていた住民票の写しを請求する業務をデジタル化することで法人・自治体双方の「手間」「コスト」「時間」の削減をめざすソリューションです。
しかしながら、郵送で住民票の写しを請求申請する手続きが、「法人請求オンラインサービス」未参画の自治体様向けには残ります。加えて住民票の写しは必ず紙で返送されるため、受け取りや封筒の開封、内容確認、データ入力といったさまざまな付帯作業が発生することが、お客様によっては課題となりえます。
これらの課題を解決するため、一連のプロセスをBPOサービス化するソリューションの、2025年度事業化をめざして提案・検討を現在進めています。
同サービスの基盤となるプロジェクトの立ち上げ段階から携わってきた宿野部。孤軍奮闘する中で、あらためてチームワークの重要性を認識したと言います。
宿野部:住民票の写しを請求するために必要な手続きは自治体様ごとに異なります。社内で知見のある社員に助言を仰いだり、自治体様への直接訪問によるヒアリングを実施したりと、基礎的な知識の習得から始める必要がありました。
当初は人的リソースが限られていたこともあり、お客様との折衝からシステム設計、業務フロー構築まで、ほぼ単独で対応している時期もあり、サービスの品質向上に十分に取り組めていなかったように感じます。
現在は、グループ体制が強化され、業務を各専門領域に分散して対応できるようになりました。複数のメンバーの視点が加わったことで、新たな気づきが生まれ、サービスの質を飛躍的に向上させられた実感があります。
2023年に同プロジェクトに参画した根岸がグループ内の連携を通じて得たのも、宿野部と同様の気づきでした。
根岸:郵送による住民票の写しの請求業務は自治体様ごとに書類のフォーマットも異なるので、「この書面では住民票の写しの発行は不可」「このような修正があれば住民票の写しの発行が可能」といった自治体様からの問い合わせに一つひとつ対応しました。Q&Aを体系化する過程に多くの時間を要しましたが、業務内容への理解が深まったと感じています。
このプロジェクトにおける私の役割は、サービス設計チームが抽出したお客様の課題を運用に落とし込むことです。宿野部さん含めたメンバーとの定期的なミーティングを通じて、要望への対応可能性や機能の必要性などを精査し、サービス設計の最適化を図ってきました。
当グループには、多様な専門知識と豊富な経験を持つメンバーがいます。メンバー同士が領域を超えて意見を交換することで相乗効果が生まれ、より洗練されたソリューションの創出につながっています。
一方、根岸が営業職に在籍していた時期には、ふたりの連携が大きな成果につながったこんな経験も。
根岸:製薬業界のお客様から、定期的なデータの作成・出力・納品業務を受注したときのことです。このプロジェクトでは、医師や医療機関向けのデータを、極めて短期間で納品する必要がありました。
そこで、宿野部さんのチームに運用を自動化するツールの開発を依頼。その結果、お客様が要求する通りのリードタイムを達成することができました。
宿野部:実際のオペレーションを担当するメンバーに詳細なヒアリングを実施し、業務フローを綿密に分析しました。その上で、改善案を提示し、実際の運用環境でテストを重ねながらツールを開発・改良していきました。
この反復的なアプローチにより、実践的で効果的なソリューションを構築することがきました。
新卒で富士フイルムシステムサービスに入社し、プリントサービスの生産管理を経て、現在サービスの設計に携わる宿野部と、中途入社後に長く営業の最前線で活躍してきた根岸。それぞれまったく異なるキャリアを歩んできたふたりですが、やりがいを感じる瞬間は共通しています。
宿野部:自分が携わったサービスが実際に効果を発揮しお客様に満足いただいたとき、そしてサービスをより良くするためにお客様から更なる具体的な改善点を聞かせていただけたときに、この仕事の真価を実感します。社会的意義のあるサービスを提供することに貢献できていることは、何物にも代えがたい魅力です。
根岸:私がこの仕事で醍醐味を感じるのも、お客様に満足いただいたときです。「富士フイルムシステムサービスに依頼して本当によかった。ありがとう」と言葉をいただくと、社会に対して貢献ができた実感が湧き、確かなやりがいを感じます。
多様性が育む創造と革新。より良いBPOサービスの設計と運用に向けて
サービス設計グループに在籍するメンバーの経歴はそれぞれ。多種多様な価値観のせめぎ合いが、新たな創造と革新の源泉となってきました。
宿野部:開発・生産・営業・品質管理など、多様なバックグラウンドを持つ人材が集結しています。各自の経験が異なるため価値観もさまざまですが、互いの立場や考え方を尊重しながら新たな視点を共有し、協調して業務に取り組んでいる姿勢が印象的です。
根岸:当グループは、受動的な姿勢でいては活躍できない組織だと感じています。主体的に関与しなければ、必要な情報を得ることも、自身のミッションを達成することもできません。一人ひとりが自ら考え、試行錯誤しながら業務に取り組む態度が顕著である組織だと感じます。
BPOサービスに携わる上で、ふたりが共に重視してきたのが顧客中心のアプローチ。深いインサイトの獲得と的確な情報伝達をめざしてきました。
根岸:お客様業務の正しい理解に努めています。運用においては、お客様の業務実態を正確に把握することが、最適なソリューション提供の前提となるからです。
また、お客様に情報を正しく伝えることも心がけてきました。不測の事態が生じた場合でも、状況を包み隠さず正直に伝えるなど、オープンなコミュニケーションが、パートナーとしての信頼関係構築に不可欠だと考えています。
宿野部:私は具体化と言語化のプロセスを重んじています。根岸さんの言う「正しい理解」にも通じますが、お客様にニーズをヒアリングする際、何度も擦り合わせを重ねながら認識の統一を図ってきました。この反復的なプロセスが、プロジェクトの成功につながると確信しています。
また、ふたりにはリーダーとして大切にしていることがあります。
根岸:私は、まず自身がめざす方向性を明確にメンバーに伝達することを意識しています。同時に、メンバーの意見に耳を傾け、独断的な判断を避けるよう努めてきました。メンバー全員の合意形成を図ることで、チーム全体の一体感と方向性の一致をめざしています。
宿野部:メンバーにタスクを依頼する際、その背景や必要性、目的を詳細に説明するようにしています。目的が不明確な状態ではモチベーション維持が困難であり、期待するアウトプットの質も担保できません。あらゆることをメンバーに共有することで、実務担当者となるメンバーと同じ視点、視座に立ち、より効果的な業務遂行が可能になると考えています。
BPOサービスの未来を拓く。強みを活かした革新的なサービス設計と運用をめざして
共に入社して10年以上になる宿野部と根岸。富士フイルムシステムサービスの強みを活かしながら活躍し、また成長を遂げてきました。
宿野部:お客様の潜在的課題の発掘に始まり、課題解決に向けたカスタマイズされたサービスを新たに開発できる点が当社の強みです。これは、当社の組織基盤、取引実績、そしてブランド力があってこそ可能なこと。正解のない課題の解決をめざし、お客様をはじめ、営業部門やバックオフィスを含む関係部署を巻き込みながら試行錯誤を重ねるプロセスは、非常に刺激的です。
根岸:多種多様なサービスを展開していることが当社の特徴です。私自身、入社後に営業からサービスの運用部門へ異動しましたが、複数部門での経験が成長につながっている実感があります。
BPOサービスを通じてお客様のDX実現にむけた支援をますます強化していくために。未来の仲間に向けて、ふたりは次のようなメッセージを送ります。
根岸:現在のプロジェクトを推進する上で、サービス設計機能の強化が喫緊の課題です。サービス設計のスキルに長けた人材の参画を期待しています。BPOサービスの業務設計経験者が理想的ですが、データの分析や加工など、データハンドリングの全プロセスに精通している方であれば、十分に活躍できるはずです。
お客様の本質的なニーズを掘り下げ、徹底的に考え抜いて最適解を導き出す粘り強さを持つ方と出会えることを楽しみにしています。
宿野部:サービスの設計から実装、お客様への提供に至るまでの過程で発生する課題を自ら発見し、解決策を考案・実行することにやりがいを感じる方を歓迎します。お客様の課題解決に向けたサービス設計に強い関心を持つ方、細部に注意を払い、着実に業務を遂行できる方の参画を心待ちにしています。
立ち上がって間もないサービス設計グループの挑戦はまだ始まったばかり。ふたりには、ここだからこそ描ける未来があります。
宿野部:当面の目標は、現在進行中のプロジェクトの成功です。同時に、サービス設計チームのメンバーにノウハウを伝承し、次世代の設計者の育成にも注力したいと考えています。
さらに、お客様に対する新規サービスの提案機会を拡大し、革新的なソリューションの開発に積極的に携わることで、より大きな価値を創出していきたいと考えています。
根岸:営業担当やサービス設計チームが獲得した案件を確実に遂行できる運用体制の確立と拡大が私の直近の目標です。新技術の導入と後進の育成に注力し、すべてのメンバーがプロジェクトを円滑に運営できるような組織づくりを通じて、チームとメンバーが共に成長していくことをめざしています。
※ 記載内容は2024年8月時点のものです