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偶然を必然に変えていく──産休・育休を経て手にした自分ならではのキャリア

システム開発部サービス開発グループの宇原 加奈子。3年半に渡る産休・育休を経て職場復帰し、現在は3児を育てながら、流通小売業向けの新サービス企画・提案に取り組んでいます。入社時に思い描いていたことが今まさに実現できていると言う宇原。そのキャリアをたどりながら、仕事への想い、やりがいを語ります。

宇原 加奈子

未来を見据えて志したSE職。公共システム開発で学んだエンジニアとしての基礎

就活当時、ライフステージが変わっても仕事を続けたいと考えていた宇原。文系出身ながら、自身のキャリアビジョンを描く中で選んだのがSE職でした。

宇原 「補助的な業務ではなく、自分の力で何かをつくっていくような仕事がしたいと思って入社時に総合職を志望していました。SE職に興味を持つようになったきっかけは、家をつくる設計士さんのような仕事だと大学の先輩から聞いたから。自分が想像するシステムをかたちにできるところに惹かれたのを覚えています。

また将来設計として、結婚しても働くつもりでいましたし、子どもが生まれたら子育てもできる環境が良いと思っていました。性別に関係なくキャリアを積むことができると思ったのも、SE職を志した理由です。

中でも、富士フイルムシステムサービスへの入社を希望した最大の理由は、自治体様やコンビニエンスストア様のような、自分の身近なところで新しい価値を生み出しているところに魅力を感じたからです」

2002年に入社した宇原が配属されたのは公共事業領域のシステム開発をする部署。役員の秘書を兼務しながら、自治体向け新サービスの企画・導入に携わりました。

宇原 「戸籍や住民票といった自治体様で利用されるシステムを構築する部署でしたが、生活保護や介護の領域にも拡大しようとしているときで、私は福祉向けの業務システムの開発を担当していました。

お客様の業務を仕様に落とす中でさまざまなケースの潰し込みに苦労した反面、システムに関する根本的な知識や考え方を叩き込みました。当時の経験は今に生きていると思っています」

そんな宇原が産休・育休を取得したのは入社7年目のこと。自身にとって思いがけない出来事だったと当時を振り返ります。

宇原 「子どもができたと知ったのは、ちょうど夫の転勤が決まり、転勤先についていくかどうかを迷っていたときのこと。嬉しくもありましたが、タイミングとしては自分でも驚きました。

結局、産休・育休取得と同時に引越しすることになりました。その後、育休期間がそろそろ終わろうかというころにさらに双子を授かりました。そこから産休・育休を延長させてもらって、結果的に約3年半の長期休暇となりました」

育休を経て変わった仕事との向き合い方。背景にあるのは、やり抜くことへの責任と誇り

思いがけず長く職場を離れることになった宇原。復帰することを選んだきっかけは、当時の上司からかけられた言葉でした。

宇原 「3人の子どもを抱えながら働き始めれば、大変になることは目に見えていました。そのまま仕事を辞めることも考えましたが、働きたい気持ちもあって。そこで上司に胸中を打ち明けたところ、『とりあえず戻ってきてから考えるのもいいんじゃない?』とアドバイスしてくれたんです。

なかなか踏ん切りがつかず迷っていた自分の背中を押してくれる人がいたおかげで、職場へ戻ってくることができました」

復職後、宇原が配属されたのは事業企画の部署、その3カ月後にはお客様との共創の場の運営管理やソリューション企画などを担う部署へと異動が続きました。慣れない業務だったものの、周囲の協力もあり、職場復帰はスムーズだったといいます。

宇原 「いちばん大きかったのは、新しい部署の方が温かく迎えてくれたこと。お迎えに間に合うように打ち合わせの時間を早めに設定してくれたことなど、いろいろなところで配慮してもらえたことが助けになりました。

あとは、時短勤務など会社の制度を活用させてもらったり、保育園で知り合った他のワーキングマザーに教えてもらった時間のやりくり法を取り入れたり。なんとか仕事と育児の両立を軌道に乗せることができました」

産休・育休を経て、仕事との向き合い方が変わったと話す宇原。とりわけ、時間の使い方に大きな変化があったと言います。

宇原 「以前は、その日の仕事をその日のうちに終わらせられれば良いと考えていたところがありました。しかし、今は保育園のお迎えがあるので、その時間に間に合うよう『今日はこれだけの成果物を出す』と決め、逆算して予定を組み立てるようにしています。

強く意識しているのは、納期を必ず守ること。突然、保育園から呼び出されることもあるため、自分ができることをしっかり伝えておかないと、大事な仕事を任せてもらえませんから」

こうした変化の背景には、仕事をやり抜くことへの責任と誇りがありました。

宇原 「中途半端な仕事をしたくないという気持ちは、入社当初から変わりません。子どもが生まれ、時間の制約こそできましたが、相応のアウトプットをして、仲間と会社に貢献したいという想いは今も強く持っています」

紆余曲折を経て、念願だった仕事に。すべての経験が糧となり、今につながると実感

その後、自社の公式サイトの運用管理業務を担う部署を経て、宇原が現在の部署に着任したのは2017年。現在は、最新技術活用による自社の新サービス立案・検証・導入などに携わっています。

宇原 「コンビニエンスストア様を中心とする流通小売業界に向け、画像認識技術やAIといった最新技術を活用した業務効率化に貢献するサービスなど、店舗DX実現に向けたご支援をさせていただいています。

現在私が担当しているのは、いわゆる開発における上流工程。お客様の困りごとを解決するために、技術をどうやってサービスに落とし込んでいくかを考えるのが主な仕事です。また、安定した運用体制の検討や原価を考慮したサービス設計、お客様に向けたデモの実施なども行っています。

流通小売業界で人手不足が深刻化する中、コンビニエンスストア様が提供するサービスは多様化する一方です。情報をわかりやすく整理し、少ない店舗スタッフでも問題なく運営できるしくみづくりをめざして取り組んでいます」

現在の業務は、宇原にとって入社以来ずっとやりたかった仕事。大きなやりがいを感じているといいます。

宇原 「コンビニエンスストア様向け事業を当社が手がけていると聞いて興味を持ち、自分もそんな新しいしくみをつくりたいとこの会社に入りました。今、まさに当時思い描いていた仕事ができるようになったと思っています。

どの技術を使ってお客様のどのような課題が解決できるかは、アイデア次第。いわば点と点をつなげて線にすることで新サービスを創出し、新しい価値を生み出していけるところに大きな魅力を感じています。

子どもに対して、『これはお母さんがつくったんだよ』と伝えられるような仕事ができていることも、大きなモチベーションになっています」

入社後に培ってきた経験が、ここへきてすべて実を結んでいるとの実感があると言う宇原。次のように続けます。

宇原 「直面する壁はどれも自分が乗り越えるべきものであり、今乗り越えなければ数年後また同じ壁にぶつかることになると信じて壁を攻略してきました。

人生で起きることはすべて必然。過去には『辞めたい』と思うほど苦労した仕事も、育休中に『こんなサービスがあるともっと便利になるのに』と消費者目線で気づきが得られたことも、すべて糧となって今につながっていると感じています」

新しい価値を生み出すための種を次の世代へ。つながりを紡いでいける存在に

今取り組んでいるプロジェクトを成功させることが目標だと言う宇原。その先の将来をこう展望します。

宇原 「現在事業化を進めているしくみの導入をなんとしても成し遂げたいと考えています。そしてこれを皮切りに、自分が携わったサービスをどんどんリリースしていきたいですね。

また、新規ソリューションに関わっていると、うまくいかないこともたくさんあります。大事なのは、課題を見つけて若手やさらに次の世代に確実にバトンを渡すこと。そうやってつながりを紡いでいける存在になっていきたいと思っています」

これからも3人の子どもを育てながら自分らしいキャリアを築いていていきたいと話す宇原。仕事と育児の両立の秘訣はメリハリ、そして完璧にしようとしないことだといいます。

宇原 「仕事に向き合う時間も子どもと向き合う時間も大事にしたいので、オンオフのメリハリをしっかりつけるよう心がけています。そのためには、取捨選択が大事だと考えていて、私の場合は、掃除や食事の支度などでうまく手抜きしています(笑)。

とくに家庭ではあれもこれもパーフェクトにこなそうとするのではなく、子どもとの時間をいかに大切に過ごすかを大事にしています。手がかかるのは思春期まで。それまでの時間をどう過ごすかに重きをおいています」

一方、仕事と子育ての両方があるからこその良い面も。

宇原 「社会を陰で支えている人の存在を知ることができたのは、この会社で仕事を通して多くの人たちと接することができているからだと思っています。

子どもに対して、『世の中ってこんなふうに動いているんだよ』と教えてあげられることは、子どものキャリア形成にとってきっとプラスになるはず。私も自分がしていることを積極的に話すようにしています」

昨今、仕事をしっかりと完遂しつつ仕事以外の時間の充実も実現させるワークライフバランスの考え方が浸透するなど、以前に比べ、子育て中の社員にとってずいぶん働きやすい環境になったと言う宇原。自分に言い聞かせるように、これから子育てしながら働こうとする人に向けてエールを送ります。

宇原 「しっかり芯を持って業務に取り組んでさえいれば、子どもがいることがキャリアの上でマイナスになることはありません。ただ、周囲からの理解を得るためにも、信頼してもらえるような人間関係を築けるだけの成果を出すことを大切にしてほしいですね」

宇原は入社時から持ち続けている想い、そして子育てと仕事の両立から得た経験を、これからも富士フイルムシステムサービスの商品やソリューション・サービスに活かすべくチャレンジし続けます。

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